研究課題/領域番号 |
22591620
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山田 昌興 帝京大学, 医学部, 准教授 (60287761)
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研究分担者 |
松野 彰 帝京大学, 医学部, 教授 (00242058)
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キーワード | グリオーマ / CED法 / 脊髄腫瘍 / 脳腫瘍 / テモゾロマイド |
研究概要 |
1. ラットglioblastoma (GBM)細胞のC6 cellを培養し、in vitroにてtemozolomide (TMZ)を投与し、C6 cell増殖抑制を得るための至適濃度を決定した。TMZに対するC6 cellのdose-responseを何度か行い、6-well plateに2x10(4)を培養し、翌日からTMZ投与を施行した結果で、至適濃度を100uMと決定した。 2. 交付申請書には、ラットの脊髄内にC6 cellを移植しconvection-enhanced delivery法(CED法)を用いて同部にTMZを投与すると記載したが、5匹のラットを用いてC2-3レベルに移植した結果、1~2日で全匹死亡し、実験系が成り立たないため、皮下および脳実質を用いて実験を完結する方針とした。 3. ラットの両側大腿部の皮下にC6 cellを移植し、1週間後にCED法にてTMZを腫瘍内に投与し、連続3日間投与後、1週間後の腫瘍の大きさを比較した。腫瘍の体積として、1/2以上の差が認められた。 4. 次に、ラットの脳にてC6 cell投与、CED法でのTMZ治療を行なった。まず予備実験として、100uM TMZの脳への毒性の有無を評価するため、CED法にて正常脳組織内に4ul TMZを3日間投与した群、同量の生理食塩水を3日間投与した群とで比較し、100uM TMZがtoxic effectやnecrosisを起こさないことを証明した。 5. C6 cellを4ulのMEM培養液に混入し(径2mm大:1x107)、ラットの脳へと移植した。穿刺針をラットの頭蓋骨にボンドで固定し、その針からTMZ、生理食塩水を投与したが、一匹ずつ飼育したにも関わらず、全部のラットで針が抜け、実験を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終目標は、ラットの脊髄内に移植されたC6 GBM cellを、CED法を用いて増殖抑制を行うことである。最終年度までに、ある程度の結果を残し、最終年度にてデータのまとめ、学会発表を予定していたが、脊髄へのC6 cell移植が予想以上に困難であったため、実験が滞り、まだ、脳内への移植C6 cellを治療している段階である。 ラットの脳内への投与という追加実験を行ったことで、約6ヶ月ほどの遅れが生じ、まだ、脊髄への投与実験ができていないが、脳内への移植モデルでの実験系が成功すれば、脊髄への応用は比較的容易と思われ、腰髄への投与を見当している。
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今後の研究の推進方策 |
① まずは、脳内に移植したC6 cellをCED法を用いて確実にTMZの腫瘍内直接投与が効果ある治療であることを証明する。現在は、頭蓋骨の留置針を、ラットが引っ掻いたりゲージにぶつけることで、穿刺部位が動いてしまうため、留置針も使用せず、TMZ投与の度に鎮静をかけ、ラット頭固定機にて固定し、stereotaxicに穿刺し、投与する操作を3日間行う予定である。 ② 生理食塩水投与腫瘍と、TMZ投与腫瘍との増大の仕方を比較し有意差を見当する。 ③ ラットの腰椎をlaminectomyし、脊髄を露出する。脳内に投与した方法と同様の操作を行い、0.5mm径の腫瘍を作成する。1週間後から、CED法を用いて、3日間TMZを投与する。脊髄には針が留置できないため、連続3日間、TMZ投与の度に鎮静をかけ、穿刺する方法を行う予定である。 ④ ラットの腰髄への腫瘍移植後から片側または両則の下肢麻痺を呈すると思うが、TMZ投与と生理食塩水投与により、病理的な腫瘍の大きさのみならず、臨床症状としての進行具合も評価していく予定である。 ⑤ 頚髄への移植とことなり、腰髄でへの移植では、ラットが直ぐに死ぬとは思われないが、問題点として、両下肢麻痺→経口摂取困難→死亡となる場合は、再度、腫瘍移植レベルを検討する必要が生じてくる。
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