研究分担者 |
樋口 敏宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (80218700)
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
渡邉 康晴 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 講師 (90454537)
河合 裕子 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 助教 (90555616)
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研究概要 |
慢性疼痛モデルを作成し、これを対象に脳および脊髄や末梢神経を評価部位として検討した。(1)AIM-MRIにより慢性疼痛による脳賦活領域をマンガン造影MRIにて画像化する試みを行い、結果を得た。また、(2)脊髄領域では、同様に疼痛に伴う脊髄組織の賦活状態を検討したが、このときMRI装置の故障により十分な結果を得ることが出来なかった。実験研究が装置のトラブルのために十分推進できなかったため、臨床用MRI装置を用いて、足関節、特に距舟関節の関節内包運動に伴うf-MRIの検討を行った。この研究の背景は、関節リウマチに代表される末梢性の疼痛、特に難治性疼痛の原因が関節損傷や機能異常などをきっかけとして生じることにある。しかし、これらの末梢性変化が中枢に及ぼす影響はよく分かっていない。そこで、痛み治療として知られている関節内包運動(関節運動学的アプローチ:AKA;arthrokinematic approach)を行い、それによる脳賦活が捉えられるかどうかの検討を行った。その結果、対照として行った足関節の屈伸運動では、従来の報告のようにわずかの賦活が認められ、それは対側の左半球BA(Brodmnan Area)3,6,13の領域および同側右半球のBA40を中心に、いずれもごく小さな領域の賦活が見られた(n=6)。右距舟関節の関節包内運動(n=10)では、刺激と対側の左半球においてBA 13,37,42,40,6,4に有意な賦活が得られ、同側の右半球ではBA 1,6,41および被殻部にいずれもごく小さな賦活領域が見られた。大脳組織の痛み関連領域としては、帯状回、島皮質、視床、前前頭皮質、帯状回(特に前部帯状回)が知られているが、今回、このうち島に賦活が見られたのみであった。本研究の結果からは、きわめて動きの少ない関節内包運動において、通常の関節の屈伸運動より広く脳賦活を伴うことが新しい知見として得られた.
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