研究課題/領域番号 |
22591629
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 博之 信州大学, 医学部, 教授 (40204490)
|
研究分担者 |
森泉 哲次 信州大学, 医学部, 教授 (70157874)
内山 茂晴 信州大学, 医学部, 准教授 (10242679)
伊坪 敏郎 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (90467168)
|
キーワード | 絞扼神経障害 / 末梢神経障害 / 坐骨神経 / ラット / double crush syndrome / 実験モデル |
研究概要 |
【具体的内容】 平成22年度は、末梢神経幹の荷重加圧ラットモデルを作成することに成功し、誘発されるラット坐骨神経障害の定量的評価法確立した.平成23年度は多数回の坐骨神経の圧迫とその後の機能回復を評価した. 【方法】12から14週齢の雌Wistar系ラットを用いた。A群(sham群)、B(1回圧迫)、C群(1週おきに2回圧迫)、D群(1週おきに3回圧迫)、E群(4週おきに3回圧迫)を作成した。各群において最終圧迫後1~8週までの期間、ラットの後肢両足foot printを毎週採取し、さらに第1-5指間距離と第2-4指間距離を測定し、坐骨神経機能としてStatic Sciatic Index (SSI)を算出した。尚、SSIOから-20は正常機能と判断した。また、1回圧迫と3回圧迫の比較を行うため、最終圧迫後2週と4週の時点で前脛骨筋の横径を測定し、免疫染色を使用して筋の神経再支配の割合を測定した. 【結果】最終圧迫後6週のSSI平均値はA群-11.9、B群-17.8、C群20.5、D群-38.7、E群-31.2でありD群の3回圧迫群では他群と比較して優位に坐骨神経機能の回復が遅れ、最終経過時点でも完全回復は得られなかった.またD群はB群に比較して筋肉径の回復も、筋肉の神経再支配の割合も低かった. 【意義】末梢神経に対する複数回の圧迫では、運動機能の回復速度、筋肉の径の回復、および筋肉の神経支配の割合の回復が遅かった.圧迫回数3回を超えると、最終的に正常運動機能が回復しないことが示された. 【重要性】本研究では臨床疾患に即したモデルを作成し得た.本モデルの圧迫気の機能回復機序は圧迫部の神経の発芽によると推測されるが、3回という臨界の圧迫回数を超えると神経の発芽能力が低下することが示唆された. これらの成果を平成23年度末に行われた米国Orthopaedic Research Societyにおいて既に発表した.その際の質疑応答などを参考に英文論文を作成中であり、平成24年度初頭には国際雑誌に投稿予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既にデータ採取、学会発表は国内2回、海外1回の発表を終えている。現在は最終段階の論文作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、J Orthopaedic Researchに投稿準備中である。投稿後の査読で追加実験が必要になれば直ちに行う準備も整えている。
|