研究課題/領域番号 |
22591637
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松田 正司 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40173843)
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研究分担者 |
下川 哲哉 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40363337)
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キーワード | 二分脊椎 / 筋の神経支配 / Islet-1 / 運動ニューロン / 感覚神経 / 感覚神経の走行異常 / ヒヨコ / 運動障害 |
研究概要 |
1)二分脊椎の脊髄におけるIslet-1陽性運動ニューロンの変化を解析し、J Vet Med Sciに発表した。正常で起こる脊髄前角運動ニューロンの過剰産生とそれに引き続く神経細胞死が、二分脊椎においては減少していることを免疫組織化学を用いて証明し、適正な運動神経と骨格筋の結合が出来ず、正常の神経支配が出来ない可能性が有ることを報告した。 2)次に、変成法による感覚神経走行の解析を行った。卵内で脊髄再開裂手術により二分脊椎を作成し、孵卵直後の二分脊椎及び正常個体を麻酔し後根線維を切断し運動状態を観察。3日間生かし、経心臓灌流固定を行い、脊髄を切り出し、オスミウム後固定、樹脂包埋し、ガラスナイフで脊髄の切片を作成、トルイジンブルー染色を行った。手術後の歩行状態を観察では後根線維切断により、正常ではほとんど変化が認められなかったが、二分脊椎では下肢の痙縮が著しくなり歩行困難が増強された。このことは感覚神経の伝達に異常が有ることを示唆した。変性法での感覚神経の追跡では、二分脊椎では後索を通過する線維が著しく減少し、後索が正常の後索に比較して有意に小さくなった。さらに、感覚神経線維が同側の後索のみならず、対側の後索や、さらに側索、前索をも上行することが明らかになった。このことは、二分脊椎において障害部位より上方へは感覚神経が上行しにくく、感覚情報が正常に上行できず異常な回路を形成することを示しており、このことが本疾患の歩行異常の原因の一つであると考えられた。これらの所見をまとめてNeurosci Res 71:85-91,2011に報告した。さらに次の論文に関する予備実験も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請していた研究内容については、ほぼ申請時の予想どおりの結果が得られ、論文を国際誌に2報報告した。特に発生段階での異常とともに、孵化後の歩行可能状態でも感覚系に異常のあることを報告できたことは大きな進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の内容はほぼ完成したが、実験の間に明らかになった他の異常についても検討を進める。ただし、方法論的には従来の方法では明瞭に示すことが出来ないので、昨年度共同実験施設に整備された二光子顕微鏡等の特殊機器を使用して検討したい。本年度はその為の予備実験も含めて、発展的に研究を広げたい。
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