研究課題/領域番号 |
22591645
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
井上 望 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (30193600)
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キーワード | 解剖学 / 整形外科学 / 生物・生体工学 / 脊椎 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続き、マイクロCTスキャナ(SMX-160CTS,島津製作所)を用いた高分解能家兎腰椎終板マイクロCT撮像を行った。2.本年度は、椎間板髄核部に相当する終板中央部と椎間板線維輪部に相当する終板epiphyseal ring部の前方・両側方・後方部より試験片を採取してマイクロCT撮影した。3.昨年度と同様に、マイクロCT画像から終板を3次元再構築し、栄養管の3次元モデル作成した。さらに栄養管ネットワークを個々の栄養管に分離し、個々の栄養管の固有ベクトル解析による栄養管の3次元配向解析を行った。4.栄養管の3次元配向に基づき,栄養管の3次元ネットワークを腰椎終板に対して垂直方向・水平方向に分離し、垂直方向と水平方向の栄養管の平均容積と平均直径の計測を行った。これらのパラメータにおいては、現在のところ部位による統計学的な差は認められなかった。次年度にサンプル数を増やし、最終的な統計学的結果を出す予定である。5.軟骨内のプロテオグリカン量の分布を推定する新たな方法として、造影剤の一種であるヘキサブリックスを用いたマイクロCT撮影法が報告されているが(Proc Natl Acad Sci USA2006;103(51)19255-60)、本研究はマイクロCTを用いた研究であることを勘案し、ヘキサブリックスを用いた椎間板内プロテオグリカン分布推定の可能性を検索した。椎体側より終板を介してヘキサブリックスを椎間板に浸透させマイクロCT撮影を行った。椎間板内のX線減弱量は髄核部と線維輪部で差が認められ、椎間板においても、本法によりプロテオグリカン分布の推定が可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的である、椎間板終板の3次元微細構造解析に関して方法論が確立され、その成果は、2011年6月1日米国シカゴで開催されたAmerican Society of Mechanical Engineering 2011 Applied Mechanics and Material Conferenceにおいて3D Microstructure of nutrition canal network in rabbit lumbar vertebral endplateと題して口演発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、造影マイクロCT撮影法を用いて椎間板内プロテオグリカン分布の推定が可能であることが示された。本法では、従来の生化学的測定法では得られない詳細な椎間板内プロテオグリカン分布が推定できるため、今後の研究においては本法を用いて詳細な椎間板内プロテオグリカン分布を推定し、終板内栄養管の微細構造との関連を検索する予定である。
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