神経根性疼痛における障害レベルの違いが脊髄後角のミクログリアの発現にどのように関与するか検討した。5週齢Sprague-Dawleyラットにペントバルビタール腹腔内投与により麻酔を行い、椎間孔を開窓することで右L5神経根を露出した。DRGより中枢側2mmを結紮した群をC群、DRGを結紮した群をD群、DRGより末梢側2mmを結紮した群をE群とした。また非手術群をA群、右L5神経根を露出のみ施行した群をB群とした。結紮は6-0絹糸を使用した。処置後7日で、抗Iba1抗体を用いた蛍光免疫染色を行い、脊髄後角における活性化ミクログリア数(各群n=5)をカウントした。ミクログリア数はA群77.2±2.5、B群80.0±2.1、C群202±8.0、D群354±8.1、E群292±6.6であった。特にB群に比べD群では4倍を超える活性化ミクログリアが散見された。また、特に結紮群では肥大化し、アメーバ様突起が出現した活性化ミクログリアが散見された。A-B群間で有意差はなく)、B群と結紮群間(C、D、E群)で有意差を認めた。さらに興味深いことに結紮群間にも有意差を認め、D、E、C群の順に増加していた。さらにこれら処置群でvon Frey testを用いた動物行動学的評価およびin vivo パッチクランプ法を用いた自発性興奮性シナプス後電流(sEPSC)を解析したところ、脊髄後角でのミクログリアの発現強度と相関した。このことから、神経根性疼痛の傷害部位による疼痛強度の違いは脊髄後角におけるミクログリアの発現と何らかの関連があることが示唆された。
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