研究課題/領域番号 |
22591648
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
永田 見生 久留米大学, 医学部, 教授 (50140687)
|
研究分担者 |
津留 美智代 久留米大学, 医学部, 助教 (90368887)
|
キーワード | 難病 / 創薬 / 予防 / 蛋白質 |
研究概要 |
我が国には、脊柱靭帯骨化症という脊椎の靭帯が骨化する疾患が存在する。なかでも、頸椎に多発する後縦靱帯骨化症の難病で、脊椎後方靱帯の異所性骨化により脊髄麻痺を来す根治的治療方法がない、難治性疾患の一つである。我々は、この疾患特異的タンパク質を探索し、発症メカニズムの解明と医薬品開発を行う目的で研究を開始した。後縦靭帯骨化症98症例の血液、摘出組織から疾患特異的なタンパク質を発見した。それらのタンパク質を逆相HPLC精製、SDS-PAGEによる分離、LC-MS-MS解析を繰り返し、SAS統計、MASCOT解析にて、特異的タンパク質を同定し、立体構造解析を行った。この疾患特異性を立証するために、in vitro実験では、iPS;induced pluripotent stem cells靭帯誘導細胞、間葉系幹細胞にこの遺伝子をsiRNA;small interfering RNAにてノックダウンしたところ、細胞が骨化を示すことが確認された。in vivo実験では、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウスの作製を行っており、疾患と同じ靭帯骨化を示すことを病理組織学的に立証している。さらに、血液からDNAを抽出増幅し、一塩基多型(SNPs;Single Nucleotide Polymorphisms)解析を行ったところ、疾患特異的タンパク質の遺伝子にSNPsを確認できた。 我々が作製した脊柱靭帯骨化モデルマウスを使い、疾患特異的タンパク質から作製した靭帯骨化抑制剤の生体内投与を行い、靭帯骨化を予防する薬物吸収濃度の閾値を決め、多臓器との可逆反応の追跡研究を行い、近い将来、安全な安心できる医薬品として、橋渡し研究への基盤研究を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスジェニックマウスの発現解析、機能解析、骨格標本を作製し、現在、論文投稿中である。ノックアウトマウスは、5月にF1の誕生を予定しており、その後、解析結果を公開していく。可能な限り、遺伝子操作マウスを分与できるように整備し、研究の広い展開を考慮し、一日も早い靭帯骨化抑制剤の効果をまとめ、臨床試験へのベースデータとする。
|
今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスの組織形態、運動神経機能が、ヒトの脊柱靱帯骨化症の発現と同じ発症となるか、病理組織学的、分子生物学的、遺伝子学的検証を実施する。 我々が、現在予想している発症メカニズムの検証を行い、ノックアウトマウスの発症メカニズムがヒトの脊柱靱帯骨化症の発症メカニズムにタンパク質翻訳、micro RNA発現、エクソン解析を実施し、解析を行っている。結果、更なる探究が必要な場合、次世代シークエンス解析を行い、タンパク質の発現メカニズムを解析追究する。
|