研究課題/領域番号 |
22591653
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠原 孝明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00378209)
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研究分担者 |
平田 仁 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80173243)
建部 将広 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (60420379)
山本 美知郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90528829)
奥井 伸幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70547554)
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キーワード | repeated minor trauma / 筋骨格系障害 / gelatinase(MMP) / PAR / mast cell / tryptase |
研究概要 |
本研究の目的は筋骨格系障害の炎症や疼痛に関与すると考えられるgelatinase・PARに着目し、疼痛発生機序について明らかにすることである。 倫理委員会の承認を前提として手根管症候群患者の手術時に得られる滑膜切除標本を採取した。同時に患者情報として年齢、性別、発症期間、手術前後のVASscale(疼痛)・DASH score(上肢能力評価)・握力・ピンチ力、術前電気生理学的検査を集積した。現在、採取した症例は56例である。 手根管症候群患者の滑膜では炎症細胞浸潤を伴わないことが特徴であるが、IL-6やTNFαなどのcytokineほか炎症メディエーターが上昇しておりそこにはPARの関与を考えている。特にPAR-2は内因性アゴニストとして肥満細胞のtryptaseにより活性化される。そこでToluidineblue染色および免疫組織化学的手法によるtryptaseの発現をみることで滑膜組織での肥満細胞の活動性について調べた。 Tryptaseが染色される脱顆粒のみられる肥満細胞はおもに新生血管の周囲に認められ、肥厚した細動脈や線維化・浮腫を起こしている部には認められなかった。肥厚した表層滑膜下にも発現がみられた。新生血管の発現は主に症状の強い病初期に主に認められ、同時にgelatinaseの発現も多く認められる。Tryptaseが同部に強く発現していることは新生血管でのcytokine、各種メディエーターの発現が痛みなどの症状惹起に強く関与していることを示唆すると考えている。 臨床症状との相関ではtryptaseの発現の強いものでは疼痛が強い傾向にあったが、一方tryptaseの発現が全く見られないものも散見され、そのような場合にも疼痛が強くなる例がみられたため。各種メディエーターとの関連を調べる必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初代培養を使用したin vitroでの解析が進んでいない。また絞拒性神経障害動物モデルを用いたin vivoでの実験では動物モデルの作成はできているものの実際にMMP-PAR inhibitor/agonistの投与はまだ行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
同時に患者より摘出された滑膜標本をexplantし、酵素処理により滑膜細胞の初代培養を得ている。今後はin vitroでの解析を進めていく予定である。並行して絞掘神経障害モデルラットを使用したin vivo実験も行っていく予定である。
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