研究課題/領域番号 |
22591655
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
国分 毅 神戸大学, 医学研究科, 助教 (40403266)
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研究分担者 |
名倉 一成 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (00437485)
黒坂 昌弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70170115)
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キーワード | 肩腱板広範囲断裂 / 腱板再生 / スキャフォールド / Poly (DL-lactide-co-glycolide) (PLG) / electrospinning法 |
研究概要 |
平成22年度は、従来使用してきたpoly-L-lactic acidよりも吸収性の早い生体吸収性高分子であるPoly (DL-lactide-co-glycolide) (PLG)を用いて新しいタイプの生体吸収スキャフォールドを開発した。このPLGスキャフォールドはelectrospinning法により作製され間隙を持った微細構造を持つ。まず、このスキャフォールドが周囲組織から遊走してくる細胞を取り込み生着させることができるかを日本白色家兎棘下筋腱の腱板損傷モデルに移植して経時的に組織学的、力学的評価行った。その結果、組織学的には、移植後4週では紡錐形の線維芽細胞をスキャフォールド内部に観察できたが、骨との移行部では骨形成は確認できなかった。PLG線維もほとんど吸収されていなかった。8週ではPLG線維はほぼ吸収され、骨との移行部に新たな骨形成像が見られた。16週なると、スキャフォールドと骨との移行部は成熟し、正常の腱付着部に類似した組織像を呈し、膠原線維様の線維の走行を確認でき、良好な腱付着部の再生が得られたと考えた。力学的には、移植したスキャフォールドと骨との最大破断強度を引っ張り試験にて測定したが、移植後0、4、8、16週での測定値の平均は順に5.4N、28.1N、71.7N、75.3Nと正常腱での測定値80Nと比較しても移植後8週、16週では有意差を認めず良好に修復されていた。しかし、移植後4週での最大破断強度は正常腱とは有意に小さく、初期の固定力の増強が必要と思われた。以上の結果より、新しく開発したPLGスキャフォールドは一時修復不可能な腱板断裂の腱板再生材料として使用できる可能性を示せたと考える。
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