研究課題/領域番号 |
22591657
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤本 卓也 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00397811)
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研究分担者 |
秋末 敏宏 神戸大学, 医学研究科, 講師 (90379363)
市川 秀喜 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00248105)
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キーワード | 明細胞肉腫 / ホウ素中性子捕捉療法 / BNCT / 軟部悪性腫瘍 / 悪性黒色腫 / ホウ素 / 担癌動物モデル |
研究概要 |
明細胞肉腫は、若年成人の四肢に好発する稀な軟部悪性腫瘍である。治療は手術による切除が基本であるが予後は悪い。特に、再発や転移を来たした手術不能な症例では、有効な治療方法が無いのが現状である。一方で、近年、悪性黒色腫に対し、ホウ素を放射線増感剤とした熱中性子線捕捉療法(BNCT)による良好な治療成績が報告されている。これは、悪性黒色腫がメラニン産生する際にホウ素製剤を選択的に取り込むことによる。同様に明細胞肉腫も軟部悪性黒色腫と呼ばれるように多くがメラニンを産生する。この事実は、明細胞肉腫でもホウ素製剤の選択的な取り込みを確認することができればBNCTによる治療効果が期待できることを意味する。そこで、本研究では、先ずヒト由来の明細胞肉腫細胞株を用いてホウ素製剤の取り込みについて評価した。すると、ホウ素が明細胞肉腫細胞株に高度に集積することが明らかとなった。さらに、この細胞株をヌードマウスに移植し明細胞肉腫の担癌動物モデルを作成し、この担癌動物モデルにホウ素製剤を投与して腫瘍内のホウ素集積についての動態を確認したところ、担癌動物においても腫瘍に高濃度のホウ素の集積を認め、また組織学的検査にても腫瘍選択的にホウ素が取り込まれていることが明らかとなった。そして、ホウ素製剤を投与した明細胞肉腫担癌動物モデルに熱中性子線を照射すると、照射後の短期間の評価ではあるが明細胞肉腫の腫瘍細胞が選択的に死滅することが判明した。これは、BNCTによる明細胞肉腫への新たな治療方法の可能性を示唆する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヌードマウスを用いて、ヒト由来の明細胞肉腫(CCS)担癌動物モデルを作成に成功した。更に、その担癌動物モデルを用いてホウ素製剤を投与しホウ素の腫瘍を含めた体内動態を解析した。これらの結果を論文としてまとめ報告した。更に、ホウ素の体内動態のデータを用いて、CCS担癌動物モデルにホウ素投与後に熱中性子線を照射し、現在、その効果につき検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
明細胞肉腫(CCS)へのホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果について、担癌動物モデルを用いて検討を行なっている。現在、解析中であるが、BNCTは治療方法が確立されていないCCSに対して有効な治療手段となり得る可能性が示唆されている。今後は、臨床への応用も視野にいれての検討が必要である。
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