研究課題/領域番号 |
22591658
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高橋 光彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10372715)
|
研究分担者 |
二川 健 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20263824)
高田 信二郎 徳島大学, 病院, 准教授 (20284292)
西庄 俊彦 徳島大学, 病院, 医員 (40444723)
|
キーワード | 骨格筋 / 腱移行 |
研究概要 |
現在、腱移行手術は麻痺肢の機能的再建に欠かせない治療方法となっている。治療の場において、動力源である筋の緊張及び長さは術者の裁量によってのみ決定されている。しかしながら、骨格筋の最小単位であるサルコメアが発生する張力はその長さに依存しており、過伸張状態では十分な張力を発揮することはできない。腱移行手術において移行された筋の術後収縮力は低下することが知られており、過大に伸展されたために筋及び筋内サルコメアが機能不全に陥ったことがその原因として考えられている。本研究の目的は、引き延ばされた骨格筋の筋力低下の関連因子を多角的に調査して、その原因・病態を解明することである。 昨年までの研究により腱移行手術により、手術後サルコメア数は短期間に増加するが、その後の腱組織の伸張により逆にサルコメア数は徐々にその数を減らしていくことを確認した。この経過中に筋の活動張力及び受動張力を調査したが、腱移行を受けた筋は生理学的筋横断面積は変わらないにも関わらずその活動張力が著明に減少していることが明らかにされた。また受動張力は術後4週間の期間で増加したままであった。筋細胞間の線維組織が増加しており、このことが受動張力増加の原因になっていることが予想され、これらは容易にリモデリングされずに長期にわたって筋線維間にとどまり、筋収縮をも妨げていることが示唆された。腱移行モデルと対比すべき骨延長モデルでの筋解析では、延長骨周囲に付着している骨格筋には元々の筋の状態により、伸張に対する適応能力に大きな差があることが分かった。また高齢個体では一部の筋で腱成分伸張が不良であり、より筋線維の伸張が必要なことが分かった。このことは腱移行でドナーとして用いられる筋は、元々の機能により移行後の適応に大きな違いが出てくることを意味し、実際の臨床場面で、術後機能獲得に大きな影響を与えるものと予想される。
|