研究課題/領域番号 |
22591663
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山元 拓哉 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40381157)
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研究分担者 |
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40423727)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
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キーワード | 骨肉腫 / Hedgehog / 細胞増殖 / 転移 / 細胞浸潤 |
研究概要 |
研究の目的:我々は骨肉腫の発生・増殖・転移におけるHedgehogシグナルの機能の解析を行ってきた。ヒト骨肉腫においてHedgehogシグナルが活性化しているのを確認した後にSmoothend (SMO)をターゲットとして阻害したところ、in vitro,in vivoにおいて細胞周期制御による骨肉腫の増殖抑制作用を示すことを報告した。Hedgehogシグナルの骨肉腫における機能を詳細に解析し、他のシグナル経路とのクロストークを含め、細胞移動、転移のメカニズムを明らかとし、骨肉腫の新規分子標的治療法の確立に貢献する。 方法と結果:1.定量的PCRにより、ヒト骨肉腫細胞株及び臨床検体においてGLI2の発現上昇を認めた。またGLI2結合配列を用いたluciferase assayにて骨肉腫細胞におけるGLI2転写の亢進を認めた。2.GLI2阻害剤やsiRNAを用いてGI2を抑制すると、正常骨芽細胞では増殖抑制作用を示さないが、骨肉腫細胞では増殖が抑制することを見いだした。3.GLI2の抑制により、細胞周期の正の制御因子の発現減少と負の制御因子の発現上昇が見られ、骨肉腫細胞株がGl arrestを起こしていることが示された。4.恒常活性型GLI2の強制発現により、間葉系幹細胞株の増殖は促進し、細胞周期は正に制御されていることが示された。5.GLI2 shRNAを遺伝子導入した骨肉腫細胞株をヌードマウスに移植すると、有意な腫瘍増殖抑制効果を認め、生存期間も延長した。 さらに骨肉腫においてGLI2をノックダウンすると細胞の浸潤能・転移能がin vitro,in vivoで低下することをみいだした。一方で恒常活性型GLI2の強制発現により、間葉系幹細胞株の浸潤能が亢進することを見出し、その分子メカニズムを明らかとする研究を行っている。 考察:骨肉腫においてGLI2の機能を制御すると、細胞増殖・細胞浸潤を抑制できることを見いだした。現在、Hedgehogシグナルをターゲットにした研究をさらに発展させたうえで治療臨床応用すべく、具体的に研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに骨軟部肉腫におけるHedgehogシグナルの機能についての英文論文を3報報告している。
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今後の研究の推進方策 |
骨軟分肉腫におけるHedgehog機能をあきらかとして、臨床応用研究を遂行している。 Hegdehogシグナルの機能解析のために他のシグナルとのクロストークや詳細な分子メカニズムの解析を行うことで治療応用を目指している。また早期の臨床応用を目指して、すでに他の疾患に認可されている薬剤でhedgehogシグナルを抑制することで骨軟部肉腫幹細胞をターゲットとした治療法の開発研究を行っている。
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