研究課題
Sulforaphane (SFN)は強力な抗腫瘍効果を有する天然化合物でありマウス骨肉腫細胞(LM8)に対して、細胞周期をG2/M期で止め、増殖を抑制すること、さらには低用量のスルフォラファンと低線量の放射線との併用療法でマウス骨肉腫細胞の増殖抑制効果を認めることを昨年までに解明した。しかし、詳細な機序については不明であったためLM8に対して低濃度のSFNと低線量の放射線照射の併用療法による細胞増殖数、フローサイトメトリーによる細胞周期、ウエスタンブロット法(ERK、Akt、caspase-3)、DAPI染色法を用いた細胞増殖関連因子、アポトーシスの変化について解析し上記併用療法の作用機序の解明を図った。結果としては、細胞増殖数はSFNと放射線の併用により有意に細胞増殖抑制効果を認めた。細胞周期はSFN投与によりG2/M期での停止を認め、放射線照射との併用により、SubG1期での細胞数の増加を認めた。放射線照射により、ERKおよびAktのリン酸化は増強されたが、SFNとの併用により抑制された。SFN単独群や放射線照射単独群と比較し、併用群ではCaspse-3は有意に活性化され、DAPI染色ではアポトーシス小体および断片化された核の増加を認めた。本研究結果からSFNと放射線を併用することで、SFNが放射線感受性の高いG2/M期での細胞停止を導き、放射線照射によるERKおよびAktのリン酸化促進を抑え、アポトーシスを誘導することにより抗腫瘍効果を増強させたと考えた。この点からSFNは骨肉腫に対する放射線増感剤の一つとなりうると考えられ、他の悪性腫瘍に対しても同様の抗腫瘍効果を得られる可能性があるのではないかと考えた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncol Rep
巻: 29 ページ: 941-945
doi:10.3892/or.2012.2195