研究課題/領域番号 |
22591669
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30316070)
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研究分担者 |
藤間 保晶 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60448777)
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40326327)
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キーワード | allograft / bone graft / mesenchymal stem cell / irradiation / osteogenesis / tissue engineering / vasculogenesis / angiogenesis |
研究概要 |
間葉系幹細胞を用いた骨形成の評価法として確立されているラット皮下移植実験モデルを参考に同種骨移植を想定した実験モデルを作成した。実験にはFischer 344ラット(F344)を用い、F344由来間葉系幹細胞を培養により獲得し、担体となる移植骨に搭載させ、F344皮下に移植し、移植骨の骨形成能を経時的に評価した。本実験では同種骨移植を想定している為、担体はACIラット(ACI)大腿骨を用いて作成した。これまで我々が報告してきた培養細胞を搭載した放射線照射自家骨移植の報告との比較、更には同種骨の免疫反応、滅菌対策として担体となるACI骨に放射線照射を施した。比較群は培養細胞を搭載した照射骨群、搭載していない非搭載照射骨群、照射及び細胞搭載を行っていない非照射骨群とし、移植2,4週後のALP活性及びオステオカルシン(OC)遺伝子測定、組織学的検討を行った。その結果、細胞非搭載照射骨群、非照射骨群では骨形成が全く認められなかったが、細胞搭載照射骨群では経時的上昇傾向を示すALP活性及びOC遺伝子発現が確認され、組織学的にも新生骨形成が認められた。 また、新生骨が培養細胞由来か、レシピエント由来か、新生骨の起源を性染色体遺伝子を用いて検討した。ドナー細胞を雄から採取、担体及びレシピエントは雌を使用して、移植4週後の新生骨をマイクロレーザーダイセクション法にて摘出し、DNAを抽出、性染色体遺伝子発現をみた。結果、雄の遺伝子発現が確認され、少なくとも移植4週時の骨形成には搭載した培養細胞が関与することが証明された。 培養骨髄間葉系細胞を用いることで、活性の低下した同種骨への骨形成能の付与の可能性が示唆された。しかし、骨形成が組織学的に確認できないサンプルもあり、サンプル間での骨形成能に較差があり、現在安定した骨形成能を供給する手法としてレシピエントでの血管網構築の観点から検討中である。
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