研究課題/領域番号 |
22591672
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
杉浦 英志 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (50303615)
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研究分担者 |
京ケ島 守 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50225091)
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キーワード | 抗IL-2抗体 / 抗IL-2α抗体 / 制御性T細胞 / 骨肉腫 / 肺転移 / 肝転移 / マウス / Foxp3 |
研究概要 |
C3Hマウスに抗IL-2モノクローナル抗体(S4B6)と抗IL-2αモノクローナル抗体(PC61)をそれぞれを投与し、最終投与から1ヶ月後に制御性T細胞(CD4^+CD25^+Foxp3^+)の消長をFACSで検討した。その結果、脾細胞中において制御性T細胞は、コントロールの正常血清投与マウスではおよそ1.5%存在していたが、抗IL-2モノクローナル抗体と抗IL-2αモノクローナル抗体投与マウスにおいては制御性T細胞はそれぞれ0.1%以下に減少していた。 抗IL-2モノクローナル抗体と抗IL-2αモノクローナル抗体をそれぞれ予め投与したマウスにマウス骨肉腫(LM8)を皮下移植し、腫瘍の増殖と転移の程度を検討した。その結果正常血清投与したマウスに比べで両実験群ともに腫瘍の増殖も転移も有意に抑制することが出来た。そして両実験群の間では有意差はなかった。次にLM8を移植した後でそれぞれの抗体を投与し、腫瘍の消長を検討した。その結果LM8を移植した2日後からそれぞれの抗体を投与した場合、両群ともに対照群に比べて腫瘍の増殖も転移も有意に抑制することが出来た。両群の比較では抗IL-2αモノクローナル抗体を投与した群が抗IL-2モノクローナル抗体を投与した群に比べてより抑制がかかっていた。抗体の投与をLM8移植5日後から開始した場合には、両群ともに腫瘍の増殖抑制や肺や肝臓への腫瘍転移の抑制効果は見られたが、コントロールと比較して有意差はなかった。また抗IL-2αモノクローナル抗体投与群により強い抑制がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗IL-2モノクローナル抗体と抗IL-2αモノクローナル抗体による効果をそれぞれ確認することが出来た。投与時期についでもLM8を移植した2日後と5日後で比較検討を行い、腫瘍の増殖抑制や肺や肝臓への腫瘍転移の抑制効果を確認し得た。概ね研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
抗IL-2モノクローナルα抗体(PC61)の標的は制御性T細胞の表面抗原であるので、抗体投与により標的細胞は短時間で消滅すると考えられる。一方抗IL-2モノクローナル抗体(S4B6)の標的はサイトカインのIL-2であるので、制御性T細胞が消滅するまで少し時間がかかることが伺える。抗IL-2モノクローナル抗体(S4B6)の投与でも制御性T細胞を消滅することができたので、抗腫瘍効果を誘導するためにはこの抗体を使用する時期をうまく調整する必要がある。
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