抗IL-2モノクローナル抗体(S4B6)と抗IL-2αモノクローナル抗体(PC61)をそれぞれ投与したマウスにマウス骨肉腫(LM8)を皮下移植し、腫瘍の増殖抑制と転移抑制の程度を検討した。その結果、正常血清投与したマウスに比べて両群ともに腫瘍増殖、転移共に有意に抑制することが出来た。次にLM8を移植した後でそれぞれの抗体を投与し、腫瘍の消長を検討した。その結果、LM8を移植した2日後からそれぞれの抗体を投与した場合、両群ともに対照群に比べて腫瘍の増殖も転移も有意に抑制することが出来た。両群の比較ではPC61を投与した群がS4B6を投与した群に比べてより強い抑制が見られた。抗体投与をLM8移植5日後から開始した場合には、両群ともに腫瘍の増殖抑制や肺や肝臓への腫瘍転移の抑制効果は見られたが、コントロールと比較して有意差はなかった。またPC61投与群により強い抑制がみられた。次に、CV-11974(candesartan)とS4B6あるいはPC61を併用投与することによって、より強力な抗腫瘍効果が発揮されないかについて検討を行ったが、candesartan 1mg/kg/day投与を併用した群と併用しなかった群において有意な差は得られなかった。マウス骨肉腫(LM8)の増殖や転移への抑制はS4B6あるいはPC61による影響が大きいものと考えられた。さらに、S4B6とPC61投与1ヶ月後に制御性T細胞(CD4+CD25+Foxp3+)の消長をFACSで検討した結果、脾細胞中において制御性T細胞は、コントロールの正常血清投与マウスではおよそ1.5%存在していたが、抗IL-2モノクローナル抗体と抗IL-2αモノクローナル抗体投与マウスにおいて制御性T細胞はそれぞれ0.1%以下に減少しており、S4B6やPC61投与によるTreg削除が確認された。
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