前年度までの研究において、代表的な窒素含有型ビスフォスフォネートとしてリセドロネートを選択し、リセドロネートが Erk/Bim経路に作用して破骨細胞のアポトーシスを誘導し、Akt経路に作用して破骨細胞の骨吸収活性を阻害すること、またリセドロネートの作用機序が破骨細胞のアポトーシス誘導に依存しないことを明らかにした。当該年度は同様の解析を、もう一つの代表的な窒素含有型ビスフォスフォネートであるアレンドロネートを用いて行った。Bim遺伝子欠損破骨細胞およびBim遺伝子欠損マウスへのアレンドロネート投与実験により、アレンドロネートによるアポトーシス誘導にBcl-2 familyのうちBimが重要な役割を果たしている事がわかった。in vitro の系におけるシグナル解析により、アレンドロネートがErk/Bim 経路に作用して破骨細胞のアポトーシスを誘導し、Akt 経路に作用して破骨細胞の骨吸収活性を阻害することが明らかとなった。またBimノックアウトマウスへのアレンドロネート投与実験から、アレンドロネートの作用機序が破骨細胞のアポトーシス誘導に依存しないことを明らかにした。アレンドロネートにおいてもリセドロネートと同様に、アポトーシス誘導と骨吸収活性抑制が独立したシグナル経路によって制御されていることが明らかとなり、各種の窒素含有型ビスフォスフォネートによって破骨細胞内で共通したシグナル変化が生じている可能性が示唆された。本研究によって得られた知見は、新たなビスフォスフォネート薬の開発や新たな機序をもつ骨吸収抑制薬の創薬につながるものと考えられる。
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