本研究では骨粗鬆症を基盤とする骨折者を解析し、骨折危険因子の検討を行うことを目的とした。 1)「高齢者において骨脆弱性が高まり、まず脊椎骨折を生じ、その後、大腿骨頚部骨折をきたす」との「骨折の連鎖」があると仮定し、その検証をおこなうこと。脊椎、大腿骨近位部骨折症例の実態調査を行うこととした。2)血中250H-D(ビタミンDレベル)、ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン、ビタミンK充足レベル)と骨折との関連を検討する。脊椎骨折例、大腿骨近位部骨折例について骨折受傷時の血液を採取し、上記の検査を含めての調査を行うことをめざした。3)大腿骨骨構造(HSA hip structure analysis)および骨組織所見について検討することをめざした。 平成22年度において骨折症例の登録が遅れ、十分な症例数を確保できなかった。その後骨折症例の収集を重ねた。症例については新潟大学病院および新潟県佐渡市佐渡総合病院、関連病院における新規脊椎、新規大腿骨近位部骨折症例を対象とした。特に新規大腿骨頚部骨折患者については、病院受診時にX線所見で脊椎骨折既往の有無を調べた。 大腿骨頚部骨折者および脊椎骨折者においては同意を得て、血液中250H-Dを測定した。 大腿骨頚部骨構造、骨組織の解析を進めた。新潟大学病院における「新規大腿骨頚部骨折患者」、通院中の「骨粗鬆症患者:大腿骨頚部骨折の既往なし」の方についてDXAにより大腿骨頚部を撮影し、HSA hip structure analysisを進めた。さらに非定型大腿骨骨折を疑われる症例において骨折手術時に骨組織を生検し、骨形態計測を合わせて行い、骨動態の評価を進めた。
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