研究課題/領域番号 |
22591685
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30283766)
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研究分担者 |
椚座 康夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60507193)
岩井 一宏 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60252459)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
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キーワード | arthritis / inflammation / NF kappa B / LUBAC |
研究概要 |
平成22年度に作成した計画に従い、人工膝関節置換術を行った際に膝関節滑膜組織を採取しサンプルの収集を進めた。関節リウマチ患者(RA)の培養滑膜細胞でのLUBACの発現を確認するため、採取した滑膜組織から滑膜細胞の初代培養を行った。培養滑膜細胞が3~5継代の時点でTNF・α(10ng/ml)を添加して1時間刺激した後、培養細胞より蛋白抽出を行いwestern blot analysisによる発現解析を重ねた。対照群には変形性関節症(OA)の患者より人工膝関節置換術時に同様にサンプルの収集を行った。LUBACであるHOIPおよびHOIL-1LはRA患者群およびOA患者群において共に発現を認め、さらにRA患者群でより高い発現を示した。次にTNFα刺激に対する応答評価として作用濃度を0,2,5,10,20ng/mlとして培養滑膜細胞を刺激した後に蛋白を回収してwestern blot analysisによる発現解析行ったが、5ng/mlまでは濃度依存性にLUBACの発現が上昇したが、RA患者群およびOA患者群間での差は認めなかった。またLUBACの下流シグナルについても同様の傾向を示した。これらの結果より、ヒトの滑膜細胞において新規分子LUBACは発現を認め、関節リウマチ患者の罹患関節ではベースラインでの発現が上昇していることを確認した。このことは関節リウマチにおける病態解明と新しい治療戦略の可能性を示すものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床サンプルの収集には時間を要するが、おおむね順調に進展している。LUBACの発現およびその下流シグナルについて詳細な解析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究症例からのサンプル収集を進め発現解析を繰り返す一方で、ヒトサンプルにおけるLUBACの免疫染色条件の最適化を進め、これにより罹患関節での発現の局在性およびLUBACの機能を明らかにしていく。
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