研究課題/領域番号 |
22591699
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 裕二 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00250457)
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研究分担者 |
橘 かおり 北海道大学, 大学病院, 医員 (50374468)
敦賀 健吉 北海道大学, 大学病院, 助教 (50399896)
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キーワード | 幼弱脳 / 神経毒性 / 麻酔薬 / 高二酸化炭素血症 |
研究概要 |
幼弱ラットが麻酔に暴露されると、脳の広範囲の部位に神経細胞死が起こることが、2003年に報告されて(J Neurosci 2003;23:876)以来、イソフルランなどの吸入麻酔薬、バルビタールやケタミンなどの静脈麻酔薬など、多くの麻酔薬に神経毒性効果があることが報告されている(Anesth Analg 2008;106:1681)。しかし、その機序については未だ解明されていない(Anesthesiology 2009;110:703)。幼弱動物が麻酔に暴露されると、呼吸、循環など種々の生理学的変化が生じるが(Anesth Analg 2006;102:75)、神経毒性が麻酔薬そのものによって起こるのか、それとも二次的に生じる生理学的変化によって生じるのかも明らかではない。私たちは生理学的変化のなかで、高二酸化炭素血症に注目し、特に本年度は組織学的見地から麻酔薬の影響との比較を行った。 1)二酸化炭素負荷 生後7日のラットに対して、高濃度二酸化炭素(65,90,110mmHg)を2ないし4時間暴露した。 2)麻酔薬負荷 吸入麻酔薬としてイソフルラン、セボフルラン、静脈麻酔薬として、チアミラール、プロポフォールを、生後7日のラットに投与した。 (1)組織学的評価 二酸化炭素もしくは麻酔薬負荷直後に、ラット脳を断頭固定後、ミクロトームで切片標本としたのち、Fluoro-Jade染色(Anesth Analg 2009;108:90)を行い、神経細胞障害を評価した。 (2)アポトーシスの定量 ラット脳を断頭固定後、ミクロトームで切片標本としたのち、caspase3活性を免疫組織化学法で測定し、神経細胞のアポトーシスを定量評価した(Anesth Analg 2009;108:90)。 すべての麻酔薬負荷により、幼弱脳ラット脳に組織障害とアポトーシスの進行を認めた。110mmHgの高度二酸化炭素負荷では同様に組織障害とアポトーシスの進行を認めたが、麻酔負荷と同程度の90mmHgでは認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は高二酸化炭素の影響を検討し、2年目はその機序として組織学的検討をするという予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、予定通りシナプス障害の観点から検討する予定である。
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