研究課題/領域番号 |
22591700
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
石原 弘規 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50111224)
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研究分担者 |
坪 敏仁 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (30133870)
大川 浩文 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40322953)
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キーワード | ブドウ糖 / 小児 / 体液管理 / 細胞外液量 / 心臓前負荷 / 分布容量 / 循環血液量 |
研究概要 |
平成23年度測定した患児は主として開心術術後患児13名であった(体重8.4-25.9kg)。ブドウ糖約0.1g/kgとなるよう1gまたは2gを中心静脈から静注し、投与後7分までの血漿ブドウ糖濃度消退曲線よりブドウ糖初期分布容量(以下IDVG)を算出した。1g投与は11名(n=20)、2g投与は2名であった。昨年の結果を含めて1g投与では術前体重を基にしたIDVGは術当日平均148±20(SD)ml/kg(n=17)であり、以後術後2日目まで増加傾向を認めたが日々の差は有意でなかった。しかし昨年は明らかでなかったが、成人(110-130m/kg)に比し、小児の開心術後IDVGは大きいことが明らかとなった。また成人でブドウ糖(5g)投与後3分の血漿ブドウ糖濃度増加分のみを用いた予測式よりIDVGを推定できた(CritCare2005;9:R144)。この推定IDVGを利用すれば今回1gを投与した場合には、5g投与の1/5のIDVGとなるが、これまでの22年度も含めたデータでは1g時の推定IDVGと実測IDVG間にはr=0.94の正の相関があったが、成人(r=0.98)に比し低かった。これは血漿におけるブドウ糖消失速度定数が成人ではほぼ0.07/min前後に対して、患児中には0.14/min程度まで増加していた症例もあったことに起因する。これを解決するにはブドウ糖投与3分のみでなく4分の血漿ブドウ糖濃度を加味することで、両IDVG差違は平均73±165(SD)mlから平均0±132(SD)mlへと改善した(p<0.001)。2g投与時でも症例数が少ないものの同様の結果であった。 測定の問題点としては血管内での混和が速やかにおこらず、4分後の血漿ブドウ糖濃度は3分後に比し逆に増加した症例も数例見られた。これを確かめるためにも投与4分後の採血は必須と考えられた。また今回ICG投与し非侵襲の循環血液量測定を同時に試みたが、23年度は1g投与症例で6名、2g投与症例で2例と未だデータ数が少なく、今後もデータ収集解析に努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は小児開心術症例が前年に比し少なかったが、それでも小児開心術症例術後には成人に比し、IDVGが増加しており、中心部細胞外液量が増大していることが判明した。また短時間でIDVGを推定する方法は、成人ではかなり有効であるが、小児では多少手直しを要することが明らかとなり、小児でも手直しすれば有効に使用できることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに症例数を増やして、循環血液量、心拍出量との関係を明らかにする。またこれまでの推定IDVGの算出の式が、この後の症例に適応して、その精度を検討する。
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