研究課題/領域番号 |
22591703
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
西川 俊昭 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50156048)
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研究分担者 |
木村 哲 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (00312702)
合谷木 徹 秋田大学, 医学部, 講師 (30302277)
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キーワード | 虚血性脊髄傷害 / Rhoキナーゼ阻害薬 / ファスジル |
研究概要 |
虚血性脳傷害に対して脳保護効果を有することが報告されているファスジル(Rhoキナーゼ阻害薬)の脊髄保護効果を、ラット一過性脊髄虚血モデルを用いて神経学的及び組織学的に検討した。【対象と方法】雄性SPrague-Dawleyラット27匹を用い、自発呼吸によるハロタン麻酔下に、右大腿静脈(輸液薬物投与用)、尾動脈(末梢側動脈圧測定用)、右総頚動脈(中枢側動脈圧測定脱血用)にPE_50カテーテルを留置した。体温測定プローベを傍脊柱筋内に挿入し、37.5±0.3℃に維持した。右総頚動脈からの脱血により中枢側平均動脈圧を40mmHgに低下させると同時に、右大腿動脈から挿入した2Fr.Fogartyカテーテルのバルーンを膨張させて_過性脊髄虚血を誘導し、末梢側平均動脈圧を10mmHg未満に維持した。10分後、バルーン虚脱と返血により再灌流を行った。ラットを3群に分け、対照群(n=10)には生理食塩水、ファスジル群(n=12)にはファスジル10mg/kgを再灌流開始5分後から60分間かけて静脈内投与した。シャム群(n=5)にはカテーテル挿入のみを行い、薬物投与及び虚血再灌流は行わなかった。虚血1日及び7日後に下肢運動欠損スコア(0点:正常~8点:下肢麻痺)を評価した。脊髄虚血7日後に脊髄を灌流固定し、第4腰髄の脊髄冠状切片をHE染色した後、光学顕微鏡で灰白質の前角正常細胞を観察した。統計的検定は、マン.ホイットニ検定とStudentのt検定で行った。【結果】虚血1日後及び7日後の下肢運動欠損スコア(中央値)はシャム群0及び0、対照群5.5及び6、ファスジル群7及び6で、群間差はなかった。脊髄前角正常細胞数は、シャム群35±3個、対照群10±7個、ファスジル群21±10個(平均±標準偏差)で、対照群と比べシャム群とファスジル群で有意に多かったが、シャム群とファスジル群には差はなかった。【結論】ラット_過性脊髄虚血モデルにおいてファスジル10m9/k9の虚血後投与は、組織学的傷害を有意に軽減した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究モデルは確立したので、期間内に目的を達成できるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
予定医通りファスジル虚血前投与、および虚血前後投与について検討を進める予定である。
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