研究課題/領域番号 |
22591707
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮本 善一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70278844)
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研究分担者 |
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20324767)
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30252638)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
眞下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
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キーワード | 揮発性麻酔薬 / 幼若神経細胞障害 / 分子機構 / 1分子イメージング |
研究概要 |
揮発性麻酔薬による幼若脳神経細胞の障害作用は、主にNMDA受容体阻害やGABA_A受容体賦活を介するものと考えられているが、そのメカニズムの全容は解明されておらず、最近ではNGF,BDNFなどのニューロトロフィンによる細胞内情報伝達系の関与を示唆する結果も報告されはじめている。本年度は本実験に不可欠な超低流量対応のペンロン社製シグマデルタ気化器が入手可能となるまでの間に、蛍光色素1分子を観察可能な全反射蛍光顕微鏡を完成させることと、気化器が入手でき次第、オリンパス社のステージインキュベーター(MI-IBC)を搭載した蛍光顕微鏡を用い、上記で作成したラット胎仔大脳皮質初代培養細胞のライブセルイメージング及びタイムラプス計測を行うことを目的とした。ステージインキュベーター上に5%CO_2を含む空気に揮発性麻酔ガス(セボフルラン,イソフルラン)を混合した気体を流し、麻酔ガス濃度は随時計測しながら目的濃度に随時titrationした。培養皿に蛍光色素FLIVO(ImmunoChemistry Technologies社製)を注入した。FLIVOは細胞透過性が高く、細胞内の活性型カスパーゼを蛍光標識する試薬であり、細胞や核がアポトーシスによる形態変化を呈するよりも早く細胞内のカスパーゼ活性化を検出できる。またFLIVOは活性型カスパーゼのみに結合,結合していないFLIVOは細胞外に排出されるため,アポトーシスに陥る過程の『プレ死細胞』細胞を高感度で特異的に検出可能である。現在、細胞を蛍光顕微鏡下にタイムラプス計測、培養神経細胞のアポトーシスが有意に上昇しはじめる揮発性麻酔ガス濃度及び暴露時間を解析しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年12月、ラット胎仔大脳皮質初代培養細胞がアポトーシスに陥る揮発性麻酔薬の投与条件の検討に使用する超低流量対応の揮発性麻酔薬気化器2台(ペンロン社製シグマデルタ気化器)を発注したところ、直前に日本側の唯一の輸入代理店である木村医科器械株式会社が倒産したことが判明し、入手が突然不可能となった。平成23年12月までには別の代理店による入手が可能となる見込みとなったため、約12ヶ月の遅延を生じた。
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今後の研究の推進方策 |
上記のペンロン社製シグマデルタ気化器は約1年遅れで入手できたため、今後は実験・解析のペースアップを図って遅れを取り戻す予定である。
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