研究概要 |
1)海馬神経細胞Ca濃度 前年度で検討した実験条件を用いて、生後4,7,28日齢のSDラットから海馬を含む脳スライスを作成し、Fura-2によるCa imaging法を行った。GABAA受容体刺激薬を6-7ml/minの高流量で7分間灌流投与し、投与開始1-2分後(早期)および6-7分後(後期)の海馬CA3神経細胞の蛍光比を測定した。GABAA受容体作動薬であるisoguvacine投与は4日齢では早期に有意な蛍光比増加を生じたが、7日齢、28日齢では有意の変化を認めなかった。4日齢の増加はGABAA受容体阻害薬であるbicuculine同時投与によって阻害された。ミダゾラム0.01,0.1,1μM投与では、4日齢における0.1μM投与で後期に有意の増加を認めた。7日齢ではisoguvacineとミダゾラム同時投与で有意の増加を生じたが、28日齢では蛍光比の有意な変化はなかった。ミダゾラム単独またはisoguvacine同時投与による蛍光比増加はbicuculine同時投与および、NKCC1阻害薬であるbumetanide前処置によって阻害された。これらから、4,7日齢ラットではGABAA受容体刺激ほ細胞内Ca濃度増加を生じ、この効果は細胞内C1濃度高値に依存していることが明らかとなった。 2)電気的活動 海馬CA3領域のfield potential測定を行い、自発活動および電気刺激によるpopulation spike測定を行い、実験条件を検討した。 3)行動実験 ミダゾラム腹腔内投与による鎮静作用をrighting reflexにより評価した。28日齢に比べて4,7日齢ラットでは、鎮静作用が明らかに減弱していたが、bumetanide前投与を行うと幼若ラットでのみ鎮静作用が有意に増強した。
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