研究課題/領域番号 |
22591714
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50295789)
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研究分担者 |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 病院長 (70183598)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳虚血 / βブロッカー |
研究概要 |
本年度はラットにおける一過性全脳虚血に対する予防的βブロッカー投与の影響を観察した。 対象はSDラット300-350gのオスをイソフルラン麻酔下で気管挿管して調節呼吸を行った。大腿静脈を剥離しカテーテルを留置し、カテーテルは皮下を通し背部皮下に埋めたOsmotic pumpに接続した。溶液投与速度は10μl/hで行うが、生理食塩水10μl/h(コントロール群), プロプラノロール100micg/kg/min (プロプラノロール群), エスモロール200micg/kg/min (エスモロール群), ランジオロール50micg/kg/min (ランジオロール群)で虚血30分後より投与を開始し、5日間持続投与することとした。引き続き人工呼吸を施行しPaO2=130-150mmHg、PaCO2=35-40mmHgに維持した。尾動脈にPE50、右外頚静脈にPE60カテーテルを留置。両側の総頚動脈を慎重に剥離、露出し、ヘパリン100単位/kg投与の後、右外頚静脈より脱血により平均動脈圧を35mmHgに維持し、両側総頚動脈を血管クリップにより遮断した(両側総頚動脈遮断+脱血低血圧モデル)。虚血時間は10分。虚血終了後、返血しカテーテルを抜去して閉創する。この間、体温を37.5度に保つった。虚血負荷後の体温の影響を考慮して、虚血終了後まで体温を測定して適宜加温、冷却した。終了後、麻酔より覚醒させ22度に保った観察箱で5時間観察する。機能評価虚血5日後に行った。ホルマリン灌流後脳標本(bregmaより後方約2-4mm)を取り出し24-48時間、4度で保存。パラフィンにて固定し切片を作成した。切片はbregmaより後方約3.3mmのところを選択し、海馬のCA1、CA3領域を評価の対象として光学顕微鏡下に正常ニューロン数をカウンした。結果は虚血後投与の方が組織学的予後を改善する傾向であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に経過しているが、予防的投与では当初予想した効果がみられなく逆に悪化傾向にあったが、今回虚血後投与に効果がある傾向にあるのは大きな収穫であった。休結語投与の効果の確認を進めていくつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は予防的投与ではなく脳虚血再灌流後のβブロッカーの脳組織に対する影響を見ていきく事を進めていきたいと考えている。投与時期に関しても再検討が必要であり、現在はおおむね計画通りに進んでいる。できれば学会等で発表していきたい。
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