研究課題/領域番号 |
22591715
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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研究分担者 |
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50295789)
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 病院長 (70183598)
瓦口 至孝 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90433333)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脊髄虚血 / ミノサイクリン / ウサギ / 運動障害 |
研究概要 |
家兔脊髄虚血モデルにおけるミノサイクリンの虚血後のtherapeutic windowについて検討した。雄性New Zealand White rabbitsを、再還流1時間後ミノサイクリン投与群(M1群、n=8)、3時間後ミノサイクリン投与群(M3群、n=8)、再還流1時間後生理食塩水投与群(NS群、n=8)、Sham群(n=4)の4群に無作為に割り付けた。ミノサイクリンは10mg/kgを12時間毎に60時間後まで静脈内投与した。NS群では生理食塩水3mlを同様に投与した。脊髄虚血はイソフルラン/フェンタニル麻酔下、腎動脈分岐部直下にて15分間の大動脈遮断を行った。Sham群では大動脈遮断を行わなかった。後肢運動機能はTarlov scoreを用いて評価し、再還流72時間後に還流固定し、組織学的評価を行った。組織学的検討はL5横断スライスをHE染色し、灰白質傷害は前角の神経細胞数を、白質は空胞化率を用いて評価した。 結果、血行動態、体温、血液ガスデータでは各群で有意な差はみられなかった。運動機能は各虚血群間で有意な差はみられなかった。M1群の神経細胞数はM3群、NS群と比較し有意に多かった。空胞化率は各虚血群間で有意な差はみられなかった。 家兔脊髄虚血モデルにおいて、再還流1時間後のミノサイクリンの静脈内投与は虚血後の灰白質傷害を軽減した。我々の以前の研究結果と同様に脊髄虚血に対しての神経保護効果が認められ、しかも1時間のtherapeutic windowを検出した。臨床での使用への第1歩のデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に従い、脊髄虚血におけるミノサイクリンの効果や活性化ミクログリアへの影響を検討している
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今後の研究の推進方策 |
ウサギ脊髄虚血モデルにおけるミノサイクリンの神経保護効果を検討し、その保護効果を検証することができた。この作用に加え、臨床で使用されるナロキソンの神経保護効果を検討するとともに、近年術中に使用される超短時間作用性オピオイドであるレミフェンタニルとの相互作用にについて検討する。これにより治療薬に加え、必要な麻酔環境の影響を実証できるため、今後の臨床応用に展開可能である。
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