研究概要 |
人体構造の確実な把握は先進医学技術を支える極めて重要な基礎知識である。脊髄神経後枝について1982年、Bogduk Nが内側枝・外側枝の他に第3枝の存在を記載して以来、脊髄神経後枝の形態には疑問が持たれている。我々も、2006,2009年にSurgical Radiologic Anatomy,Annals Anatomy誌に第3枝の存在についての報告を行った。この一連の研究について、本研究では第3枝の存在の確認も含めて、脊髄神経後枝の3次元的構造解析を行うこととした。 平成22年度には3体の遺体を対象として脊髄神経後枝を通常解剖とは異なる腹側からの解剖を行い後枝近位部の解剖を各神経分節にておこない分枝形態について確認をおこなった。又、減圧用コンプレッサー、減圧用大型資料保存容器を購入して脊髄神経を含む腰部脊椎のブロックを作成し水溶液中においてサンプル内の空気包を除去してノイズを除去した状態でMRI検査をおこない脊髄神経の形態についてのイメージを得た。これらのイメージによって人体解剖について得られた結果についてはコンピュータ・グラフィックにて3次元画像化し立体的に神経の走行を把握できるようにした。この図をもとに現在、安全な麻酔針の穿刺方向について検討中である。今後は同様の研究過程を胸部・頸部について繰り返す予定である。 本研究について、本年度はスンクスの生物学(磯村源蔵監修)の中に本研究の結果の所見の一部を記載し出版する事が出来た。
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