研究課題/領域番号 |
22591719
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 敏之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50195997)
|
キーワード | ヒト / 人体構造 / 脊髄神経 / 脊髄神経後枝 / 脊柱起立筋 / 人体発生 / 腰痛 / 椎間関節炎 |
研究概要 |
脊柱後方の脊髄神経、即ち脊髄神経後枝は長くその枝が2枝(脊髄神経後枝内側枝・脊髄神経後枝外側枝)であると教書に記載されてきた。しかし、1982年にNikolai Bogdukは腰部脊髄神経後枝の枝が3本であることを報告した。我々はBogduk氏とは独自に脊髄神経後枝の走行に疑問を持ち、研究を始めて、胸部でも後枝に3本の主枝があることを報告した。また、胸神経・腰神経の後枝の支配領域には神経・筋の・椎骨の突起に関する3つのユニットがある事を報告してきた。しかし、Bogdukら、我々の報告にも拘わらず未だに教書の記載が観察される所見のように変更される迄には至っていない。この目的を達成する為には3本の主枝の形態を明確に記載する事が効果的であると考える。我々は新たに新たに発見された脊髄神経後枝中間枝を含む三枝の走行を古典的解剖、MRI、レーザースキャナー、透明標本作成法によって解析した。しかし、研究を始めると、脊髄神経後枝はそのすべての経路が背部の筋の中にあり、頸部から仙骨部迄その構造を解析するには10年程度の時間が掛かる事が解った。そこで、今回の研究期間では腰神経後枝について構造を解析する事とし、これに成功した。 腰神経後枝は脊髄神経後枝内側枝、外側枝、中間枝の3枝に分枝し、それぞれ脊柱起立筋の中を走行した後、体幹背側の皮膚に迄到達していた。今回の研究で、脊柱に対するこれら3枝の形態を三次元的に画像化する事ができた。本研究の結果は本年3月に山梨大学医学部にて開催された第117回日本解剖学会総会にて公表した。本研究の論文上の公開は、現在、米国麻酔学雑誌ANESTHESIOLOGY誌にて公開の予定で論文の校正が進んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腰部脊髄神経後枝の三次元構造を解析する事ができた。また、その論文上での公表の準備も進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
学術雑誌に結果を公開して、胸部、仙骨部、頸部についての本研究の進展への土台とする。
|