研究課題/領域番号 |
22591720
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中尾 慎一 近畿大学, 医学部, 教授 (10207714)
|
キーワード | 高血糖 / 脳灰白質 / 脳白質 / 全脳虚血 / 活性酸素 / HMGB1 / RAGE |
研究概要 |
高血糖状態は酸化ストレスが進んだ状態である。本研究の目的は、ラット全脳虚血(心肺停止.蘇生)モデルを用いて、高血糖では脳灰白質のみならず脂質に富む白質傷害が増悪するかどうかを調べ、その増悪にHMGB1(high mobility group box 1)およびRAGE(receptor for advanced glycation end product)の関与を調べることである。 急性高血糖ラット作成) オスウィスターラットを用いて、心肺停止導入1時間前に2g/kgブドウ糖を腹腔内投与した。 ラット心肺停止・蘇生モデル) 正常血糖ラット群と急性高血糖ラット群の2群に分けた。ラットをイソフルラン麻酔下に気管挿管し人工呼吸を行い、尾静脈.大腿動脈にカニュレーションを行った。ロクロニウムを静注し、呼吸停止とエスもロール投与により一過性に心臓を停止させ、5分後に蘇生を行った(100%酸素換気、ヘパリン、重炭酸、エピネフリン混合液を大動脈内へ注入)。心拍停止・蘇生3日後、1週間・2週間後に脳スライスを作成し、HMGB1およびRAGEの観察を行った。また、運動機能の評価も行った。灰白質傷害としては、クレシルバイオレット染色とカスパーゼ3染色、神経軸索病変は6 amyloid precursor protein(β-APP)の免疫染色で観察した。 心肺蘇生御1週間で海馬CA1の神経細胞傷害が認められたが、高血糖ラットの方が、傷害の範囲と程度が強い傾向が認められた。Β-APPの発現も、高血糖ラットの方が多い傾向が認められた。HMGB1発現は両群で有意差は認められなかった。運動機能も両群に差は認められなかった。 全脳虚血に際しては、高血糖により脳灰白質・白質ともに傷害が強くなると考えられたが、この高血糖による脳障害に、HMGB1が直接関与しているかどうかは判断できなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
科研費申請後に他施設に移動したため、研究物品の整備に時間がかかってしまった。心肺停止・蘇生モデル作成技術習得には時間がかかるが、このためにかなりの時間が費やさされてしまったため、次のステップである脳白質・灰白質傷害の同定があまりできていない。
|
今後の研究の推進方策 |
全脳虚血モデル作成の技術はある程度向上してきたため、サンプル数を増やし、当初の計画通りに研究を進めていくつもりである。
|