研究課題
高血糖状態では酸化ストレスが進行している。本研究の目的は、ラット全脳虚血(心肺停止)モデルを用いて、高血糖状態では正常血糖に比べ脳傷害が重篤かどうか、さらにそのメカニズムを調べることである。特に、これまでは灰白質傷害を調べることにのみ重点が置かれていたが、脳機能に深く関与し脂質の多い白質(活性酸素に対しより脆弱であることが予想される)傷害にも焦点をあて、その高血糖による傷害に最終糖化産物(Advanced glycation end products: AGEs)や HMGB1 (High mobility group box 1)、およびその受容体であるRAGE (receptor for AGEs) の関与があるかどうかを調べることである。オスウィスターラット(250-300 g)を用いて、正常血糖シャム手術群、正常血糖心肺停止蘇生群、急性高血糖シャム手術群、急性高血糖心肺停止蘇生群(心肺停止導入1時間前に 2g/kg のブドウ糖液を腹腔内へ投与)の4群に分けた。手術後日々の体重変化および、手術2週間後に神経学的行動検査を行った後に過剰量の麻酔下にラット脳を取り出し、脳スライスを作成した。Kluver-Barrera 染色を行い、神経細胞と髄鞘の傷害程度を調べるとともに、軸索傷害のマーカーであるβ-APPの免疫染色を行った。4群間に体重変化に差は無く(摂食に差は無い)神経学的行動検査にも差は認められなかった。シャムの両群では神経細胞の傷害は認められなかった。心肺停止群では海馬 CA1 細胞の傷害が認められ、高血糖群では正常血糖群より傷害程度が重篤である傾向が認められた。神経線維の傷害程度の差はとβ-APPの発現には軽度の違いが認められたが、今後の課題となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Cardiothorac Vasc Anesth
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10.1053/j
Acta Med Kinki
Lisa
巻: 19 ページ: 608-611