敗血症によって生じる細胞性免疫能の低下を評価するための実験系の樹立と更に進めてこの系の解析を行った。 実験計画では細胞性免疫能の評価を行うために実験計画ではリステリア感染モデルを予定していたが、感染モデルによる評価が困難であることが判明して、これを腫瘍の排除モデルに変更して実験系の確立を行った。 敗血症によって生じる免疫抑制状態を実験的に再現するために使用した慢性的敗血症モデルは計画通り、マウスにおける腹膜炎に誘発される敗血症モデル(Cecal Liation & Puncture:以下CLPと略)を軽症化させることにより作成した。CLP誘導後10日でCLPから回復したマウスを対象として以後の解析を行った。対照群としては開腹のみを行ったマウスを設定した。 これらマウスに経鼻的に鳥卵白アルブミン(OVAと略)をアジュヴァントとともに投与して免疫する。 追加免疫を5日後に行いその1週間後に免疫系の評価を行った。 1週間後にOVAを腫瘍抗原として発現する腫瘍細胞であるEG7を接種すると腫瘍の排除能はCLP誘導群では対照群と比較して低下していた。 次に腫瘍の排除に重要となる腫瘍抗原(OVA)特異的CD8T細胞の動態をOVAに対するMHC class Iテトラマーを用いて解析すると、CLP誘導群でも対照群と有意差なく腫瘍抗原特異的T細胞が誘導されていることが分かった。現在は腫瘍抗原(OVA)特異的なCD8T細胞の機能を、細胞障害性をはじめとしてCLP群と対照群の間で比較検討している
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