研究課題/領域番号 |
22591729
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大嶋 嘉明 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90233105)
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キーワード | 解糖系中間代謝産物 / ホスホエノールピルビン酸 / 虚血再灌流肺障害 / ウサギ / 摘出灌流肺 / 濾過係数 / 肺湿乾重量比 |
研究概要 |
【目的】解糖系中間代謝産物であるPhosphoenolpyruvate (PEP)の虚血再灌流障害肺に対する保護効果について検討した。 【方法】雄性ウサギ(日本白色種)をペントバルビタール耳静脈投与で麻酔し、肺動脈送血・左房脱血の摘出灌流肺標本を作成した。左房脱血管から血液成分を十分に廃棄した後に、physiological salt solution (PSS液)を30ml/kg/minの定流量で再灌流した。PSS液にはHES(5g/dl)、ブドウ糖(100mg/dl)、インスリン(20mU/dl)を加えた。呼吸条件はRR40/min、TV6ml/kgとした。主換気ガスに空気を用いたが、換気時のリバーザー内の灌流液のPCO2が35~40mmHgになるように、主換気ガスに純CO2を混入した。標本を虚血再灌流(IR)群、PEP処置虚血再灌流(PEP-IR)群、換気・灌流を中断なく継続したコントロール(Cont)群に分けた(各群6匹)。PEP-IR群には安定期に灌流液にPEP(1mM)を前投与した。IR群とPEP-IR群では、30分間の安定期の後、60分間ほど換気・灌流を停止し、その後に換気・灌流を再開した。摘出灌流肺標本は精度10mgの上皿天秤に乗せて、実験経過中、連続的に重量測定した。虚血直前、再灌流30分後、60分後の濾過係数をDrakeの方法に準じて算出した。また、実験終了後に肺を乾燥させて、肺の湿乾重量比を算出した。統計処理は分散分析で行い、P<0.05をもって有意とした。 【結果】再灌流30分後と60分後の濾過係数は、IR群が他の2群に比べて有意に大きかった。肺の湿乾重量比は、IR群が他の2群に比べて有意に大きかった。 【結論】PEPの肺虚血前投与は肺虚血再灌流障害を軽減する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在、摘出灌流肺において、虚血再灌流障害肺に対するPhosphoenolpyruvate (PEP)の効果を証明することがようやくできたところである。遅れた原因は摘出灌流肺において、(1)虚血再灌流障害を安定して発現させるのに時間がかかった。(2)肺血管の透過性の指標である濾過係数の測定法の確立に時間がかかったためである。In vivoでのPEPの検討にまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
摘出灌流肺において肺血管の透過性の指標である濾過係数の測定法が確立出来たので、今後はまず、同実験モデルにおいて、オレイン酸やLPSによる肺障害においてもPEPの効果を検討していく。その後にウサギin vivoにおいて、種々の障害肺に対するPEPの効果を検討していく。
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