研究課題/領域番号 |
22591730
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40252952)
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研究分担者 |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 教授 (40108171)
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
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キーワード | 急性肺傷害 / 出血性ショック / 炎症 / 酸化ストレス / 一酸化炭素 / アポトーシス / activated caspase-3 / TUNEL |
研究概要 |
出血性ショック(HS)では一旦蘇生に成功しても全身性炎症反応が惹起され好中球が肺に集積する。活性化された好中球より発生する活性酸素は肺上皮細胞を破壊し急性肺傷害(ALI)が発生する。しかし、ALIに対する適切な抗酸化療法は未だ確率されていない。一酸化炭素(CO)は猛毒ガスであるが、極低濃度では抗炎症作用を示し細胞保護的に働くことが報告されている。申請者らは平成22年度の研究においてラットHS誘発ALIモデルを用いてHS蘇生後に極低濃度のCO吸入させるとALIが改善することを明らかにし、その機序として炎症性メディエーターであるTNF-α、iNOS mRNAの発現抑制が関与することを報告した。平成23年度の本研究ではCOによるALI改善効果のメカニズムをさらに検討した。雄性SDラットの大腿動静脈から脱血をおこない、平均血圧を30±5mmHgになるように60分間維持した後、返血・蘇生を施行しHSモデルを作成した。これをHS+Air群(N=5)とHS+CO群(N=5)に分け、HS+CO群は250ppmの濃度で、ショック蘇生後COを3時間吸入させた。これにsham群(N=5)を加え、蘇生12時間後蛍光免疫染色法でactivated caspase-3とTUNEL陽性細胞を検知することによりCOアポトーシスに及ぼす影響を検討した。その結果、HSで増加したactivated caspase-3陽性細胞数、TUEL陽性細胞数はCO吸入により有意に減少した(P<0.05)。尚、統計学的検定はANOVAを用いて行った。HS後の極低濃度のCO吸入の治療効果にはCOの抗アポトーシス作用が関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究では出血性ショック蘇生前後でのCO吸入投与が蘇生後肺傷害を改善することを明らかにしてきた。本研究計画では、蘇生後のCO投与のみによる肺傷害が改善の有無とそのメカニズムを明らかにすることが目的であるため、概ね順調に経過していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでわれわれは、ラットALIモデルに対して250ppmの濃度のCOをショック蘇生後に3時間吸入投与が炎症促進反応伝達経路抑制を介して肺組織障害の改善をもたらすことを報告した。本年度は、COの抗炎症作用のメカニズムをさらに明らかにするためにCO吸入が炎症性転写因子Egr-1と抗炎症性転写因子PPARγに及ぼす影響について検討する。
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