研究課題/領域番号 |
22591732
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西江 宏行 岡山大学, 大学病院, 助教 (20379788)
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研究分担者 |
溝渕 知司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70311800)
佐藤 哲文 (独)国立がん研究センター, 手術・緩和医療部, 部長 (40362975)
森松 博史 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (30379797)
永坂 岳司 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (30452569)
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キーワード | 遺伝子 / ARDS / ステロイド / SNP / 予後 / P/F ratio |
研究概要 |
現在の研究の中心は、TBX21遺伝子コドン33の変異により、ARDSのステロイドに対する感受性が異なるかどうかについてである。TBX21遺伝子のコドン33遺伝子がヒスチジンからグルタミンに置き換えられている症例は約6%であるとされている(H33Q)。その中で我々は平成22年度の研究で敗血症からARDSに至った症例にきわめてまれなホモ接合(Q33Q)の症例を発見した。この症例1は劇的にステロイドが有効であった。平成23年5月カナダでのIARSでこのレポートを発表し、KOSAKAAWARDを受賞した。その後も症例を積み重ねている。H33Qの症例でもステロイド投与後のP/F ratioの改善は変異のないH33Hの症例よりも有意であり、TBX21遺伝子のSNPはステロイド感受性を予測する因子になりうる手ごたえをつかんでいる。人工呼吸中でP/F ratioの計算が出来る症例が現時点では13例で、そのうちSNPの存在するのが3例である。この3例では変異のない10例よりも平均でP/F ratioが改善している。この結果は平成24年の日本集中治療医学会で発表した。人工呼吸をしていないため、P/F ratioのが正確に計算できない症例では、生存か死亡かの予後を指標にして比較しているげ現在までに30数例あり、H33Hでの生存率が42.3%であったのに対し、H33Q/Q33Qでは75%であった。しかし症例数が少なく、有意差はでていない。この結果は平成24年度のASAに応募している。ARDSは手術法の進歩や新たな抗生物質の登場などにより全国的に減少傾向にある。したがって、今後症例を集めるためには多施設共同研究が必要ではないかと考えている。今後、miRNAの解析も始める予定であるが。どの部分を調べたらよいかを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TBX21遺伝子の変異によるステロイドの感受性の違いについてはほぼ結果がでつつあり、順調に進行している。症例数が当初の予想よりも少ないこと、miRNAの調査については項目を絞りきれないところがあり、この点ではやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を増やすことが一番の課題である。ARDSは術後や何らかの治療後になる場合が多いこと、極めて重症でありご家族が不安に感じておられることが多いので、観察研究とはいえ研究の同意を得にくいことが問題点である。この点に関しては、現在までの結果を論文化して、ご家族、あるいは他院の医師にも説明できる状態にして、多施設共同研究を目指す予定である。
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