ラットにおける腎侵襲モデルでの希少糖の効果を検討 経口希少糖の侵襲抑制効果の範囲を広げるためにこれまで行ってきた腎虚血再潅流モデルに加え、シスプラチンによる薬剤性腎障害への適応を拡大するために、静脈内投与群で予備実験を行った。 (1)シスプラチン投与群20mg/kg静脈内投与 (2)シスプラチン20mg/kg静脈内投与後アロース400mg/kg腹腔内投与 (1)群では24時間後のクレアチニンはコントロールに比し5.1培、BUNは3.2培に上昇した。 それに対し(2)群ではクレアチニンの上昇は3.1培、BUNは2.2培と有意に抑制された。 抗悪性腫瘍薬シスプラチンは、抗腫瘍効果としては優れており肺癌や精巣腫瘍、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、食道癌等多くの悪性腫瘍の治療に用いられている。しかし、シスプラチンは腎障害を始め、胃腸障害、骨髄抑制等を有し、特に腎障害は薬剤の使用を制限する可能性がある副作用である。 その原因の一つに炎症が関与していると考えられ、好中球の役割は重要である。 これまでの実験で、アロースの静脈内投与が腎虚血再潅流障害に一定の効果が見いだされ、好中球の作用が腎障害を助長していることは明らかとなっている。今回シスプラチン腎障害がアロースの腹腔内投与により軽減できていることから、経口投与でも効果がある可能性が示唆された。 アロースは薬剤としてよりも治療食または補助職として用いられるべきであり、今後経口投与で実験を行っていくことにより、治療補助食としての展望が開けていくものと思われる。
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