研究概要 |
これまでの研究成果で、白色脂肪細胞(3T3-L1)およびラットを用いた実験系において、プロポフォールが濃度依存性にアディポネクチン分泌を抑制することが確認された。プロポフォール投与により、脂肪細胞内ERK1/2, JNK, p-38はいずれもリン酸化が促進されていたが、拮抗薬を前投与するとJNK拮抗薬によって、プロポフォールのアディポネクチン分泌抑制効果は拮抗された。またGABA受容体拮抗薬ビククリンの前投与ではこの作用は抑制されなかった。これらのことから、プロポフォールはGABA受容体を介することなく、JNKリン酸化を促進することで脂肪細胞からのアディポネクチン分泌を抑制していることが明らかとなった。さらに、プロポフォールのアディポネクチン分泌低下を介したインスリン抵抗性への関与も検討し、プロポフォールがAMPキナーゼのリン酸化を抑制することを確認した。しかし、この作用はアディポネクチンを介さずプロポフォールによる直接作用である可能性が考えられたため、現在その機序について検討中である。 以上の、アディポネクチンに関する研究に加え、24年度はアディポネクチンと同様に肥満に関連した生体内物質であるオレキシンの作用についても検討を行った。アディポネクチンと同様にオレキシンは体温調節にも関与するが、体温と麻酔からの覚醒に影響を与える可能性について検討を行い、オレキシンが体温調節のみでなく麻酔からの覚醒状況にも関与していることを確認した。
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