研究課題
本年度実験経過においては、ラット心筋細胞を用いたIn Vitro系でヒトを対象とした臨床実験(In vitro系)系と同様に心筋障害とアポトーシス及びオートファジーの関係を解明する事、β-blockerまたは吸入麻酔薬を培養液に添加する事で、アポトーシス及びオートファジーの発現変化を観察する事を目標にしていた。しかし、ヒトを対象とした臨床研究で研究結果の進展をみたので、ラット心細胞を用いた実験系を中断した。去年度の報告書において、1.心拍動下冠動脈バイパス手術症例における心筋保護作用を目的とした短時間作用型β-blocker(ランジオロール)投与に、一部有効性を示すことができた。人工心肺下冠動脈バイパス手術症例においては、心筋障害が高度に発現している可能性があるのでより有用性を示す可能性がある、と記載した。この仮説に従い術前からのβ遮断経口薬のみならず、術中の短時間作用型β遮断薬投与により、人工心肺下冠動脈バイパス手術において心筋細胞内の小胞体ストレス(CHOP発現)と細胞死(Caspase3発現)の発現が抑制されることで、周術期の心筋障害(血漿中H-FABP濃度)が抑制されることが分かった。また、これら術中の短時間作用型β遮断薬投与によるCHOP及びCaspase3発現抑制効果は心拍動下冠動脈バイパス手術においては確認されなかったことから、より心筋に侵襲の高い環境において短時間作用型β遮断薬の効果が見られる事が示唆された。
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J.Aneth
巻: (In Press)
DOI:10.1007/s00540-012-1371-0
Masui
巻: 60 ページ: 88-90
巻: 60 ページ: 55-66