研究概要 |
麻薬の鎮痛効果や麻薬の必要量には個人差が大きい。一定の手術を受け、かつ静脈内フェンタニルを使用した患者自己調節鎮痛法(PCA)による術後痛管理を受けた患者を対象として、術後のフェンタニル必要量と患者の遺伝子多型との関連をゲノムワイド関連解析によって検討した。 ①画一的で強い術後痛を生じる「下顎骨骨切り術」を受けた353人の患者において、GWASを施行し、第2番染色体長腕の「2q33.3-2q34」領域における「rs2952768」の遺伝子多型が手術後24時間における麻薬フェンタニル必要量と最も有意に関連していた。 ②開腹手術を受け術後麻薬による疼痛管理を受けた患者151人(Hayashida M, et al. Pharmacogenomics 2008;9(11):1605-16でOPMR1の遺伝子多型A118Gと術後鎮痛薬の必要量との相関を既に発表)においても追試を行った所、「rs2952768」の遺伝子多型が手術後24時間における鎮痛薬必要量と有意に相関することが見出された。「2q33.3-2q34」領域に存在する「METTL21A(FAM119A)」および「CREB1」の遺伝子との関連を検討予定であるが、以上の結果は、Nishizawa D, et al. Molecular Psychiatry Nov 27. 2012. [Epub ahead of print]で発表した。 ③腹腔鏡下大腸切除術を受け、術後静脈内フェンタニルPCAで疼痛治療を受けた患者350症例において現在GWASを施行中である。
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