A. CO_2-hemoglobin血および洗浄赤血球血の作成 ドナーラットから洗浄赤血球を作成し、100%CO_2により脱酸素化、CO_2-hemoglobin血(CO_2-Hb血)を作成した。CO_2-Hb血は、CO_2により脱酸素化した生理食塩水で再び洗浄し、ヘマトクリット30%の洗浄血とした。 B. 生体内での心機能評価 Wister系ラットを、麻酔下に内頚動静脈にカニュレーションし、静脈カテーテルより生理的食塩水を10ml/kg/hrで投与を開始した。続いて、気管切開し、人工呼吸管理を行った。内頚動脈カテーテルより、圧センサー付コンダクタンスカテーテル(SPR-838 MILLAR USA)を挿入した。圧センサー付コンダクタンスカテーテルは、容積信号ケーブルを通して、心室圧-容積測定装置(ARIA-1 MILLAR USA)に接続し、コンピューターを用いて解析した。 その後、体重100g当たり3.1mlの脱血し、重度出血性ショックモデルを作成した。1時間後、無作為に2群に分け、脱血相当量のCO_2-hemoglobin血(CO_2-Hb group : n=6)または洗浄赤血球血(Control group : n=6)を内頸静脈カテーテルから10分間かけて投与した。心機能の測定は、1時間ごとに3時間まで行った。経時的変化を測定した値には、反復測定分散分析を用いた。 C. 結果 再灌流後の心拍出量は、Control groupに比しCO_2-Hb groupで有意に高い値を示した(p<0.01)。一方、心収縮力の指標であるMax ElastanceはControl groupに比しCO_2-Hb groupで高く保ったが、有意な差は得られなかった(p=0.08)この研究により、CO_2-hemoglobin血の出血性ショックに対する投与では、再灌流後の心拍出量を有意に高く維持することが示され、再灌流後の心機能を高く維持する可能性が示唆された。
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