研究課題/領域番号 |
22591755
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
川崎 貴士 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60299633)
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研究分担者 |
岡本 好司 産業医科大学, 医学部, 講師 (50248572)
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 教授 (60128030)
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キーワード | 外科侵襲 / サイトカイン / 臓器障害 / HMGB1 |
研究概要 |
外科的侵襲が免疫能抑制、臓器障害を惹起する機序の解明をおこない、それを制御する戦略を開発し合併症の発生、死亡率の低下を図ることがこの研究の目的である。マウス外科的侵襲(外傷出血・熱傷)モデルを用いて検討し、将来、臨床応用可能な戦略を開発する。 侵襲により活性化されたマクロファージから炎症性サイトカインが放出され、サイトカインにより好中球が活性化し、肺、肝に集積することが知られている。活性化された好中球は組織障害をおこすプロテアーゼ、活性酸素、リン脂質代謝物質やNOなどのメディエーターを放出する。また近年、DNA結合蛋白のひとつであるHigh-mobility group box-1(HMGB1)が敗血症動物モデルにおいて組織障害メディエーターとして働いていることが報告されている。HMGB1は活性化マクロファージや壊死細胞から放出され、細胞外で組織障害を引き起こす。しかし、HMGB1が外傷・出血、熱傷において臓器障害メディエーターとして作用しているのかどうかは未だ解明されていない。今年度研究では、マウス外科的侵襲モデルを用いて、侵襲後の肺、肝障害に活性化マクロファージ、好中球がどのように関与しているのか、HMGB1が臓器障害メディエーターとして作用しているのかどうか、検討した。その結果、マウス侵襲モデルにおいて、TNF-alpha、IL-6、HMGB1の血中濃度が増加することを確認した。外科侵襲により好中球の肝、肺への集積を認め、肝障害、肺障害が発生することも確認できた。組織免疫染色の結果は検討中であるが、肝障害の発生とHMGB1の発現に相関関係が見られている。今後は臓器障害と炎症メディエーター、血液中生理活性物質との関連解析をさらに進める予定である。
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