研究課題/領域番号 |
22591756
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 教授 (60128030)
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研究分担者 |
堀下 貴文 産業医科大学, 医学部, 講師 (40369070)
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キーワード | ATP受容体 / 癌性疼痛 / 新たな鎮痛薬開発 / 全身麻酔薬 / 疼痛発現機構 / 神経障害性疼痛 / P2X受容体 / アフリカツメガエル卵母細胞発現系 |
研究概要 |
申請者らは、癌性疼痛に対する新たな鎮痛薬開発をめざし、神経障害性疼痛への関与が示唆されているATP受容体に関する疼痛機構を分子レベルで解析することを目的として研究計画を立てた。(1)電気生理学的手法(アフリカツメガエル卵母細胞発現系)による7種のイオンチャネル型ATP受容体(P2X)と8種のG蛋白結合型ATP受容体(P2Y)への全身麻酔薬・阻害薬の影響解析、(2)遺伝子変異株を用いた電気生理学的手法による全身麻酔薬・阻害薬の作用部位の同定、(3)マウスを用いた行動薬理学によるin vivoでの疼痛機序解析、(4)電気生理学的手法(パッチクランプ法)による脊髄後根神経節(DRG)細胞と脊髄ミクログリア細胞に発現しているATP受容体への全身麻酔薬・阻害薬の影響解析である。 平成22年度は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いたP2Xに対する全身麻酔薬の影響を解析した。まず、疼痛発現に関与すると考えられているP2X_3のcRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入し、発現させることに成功した。Voltage-clamp法によって、ATP誘発性電流に対する全身麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン)の影響を解析したところ、これら全身麻酔薬がP2X_3受容体機能を抑制することが確認された。この結果、P2X_3受容体の抑制が全身麻酔薬の作用機序の一つである可能性が示唆された。今後、その他のP2XやP2Yを発現させ、これらに対する全身麻酔薬の影響を詳細に解析していく予定である。
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