研究概要 |
前立腺癌は,造骨性を特徴とする骨転移しやすい癌種である。1990年代中ごろより,この骨転移の発症の分子機構において,osteoprotegerin(OPG)-receptor activator of nuclear factor κB(RANK)-receptor activator of nuclear factor κB ligand(RANKL)の系が重要であることがわかってきた。特に最近,この系に作用する抗RANKL抗体薬が,骨転移対策に有効であることが証明されて発売となった。このような背景のなか,骨転移を有する前立腺癌患者の血清における,これらの蛋白質を測定し,OPG値の予後因子としての有効性を見出だした。この結果は,新しい前立腺癌のバイオマーカーとしての有用性を示すものである。 同様に骨に対する薬剤として,ゾレドロン酸の有効性が知られるが,骨転移を有する前立腺癌患者に対してのゾレドロン酸の抗腫瘍効果を臨床的に示した。また,骨代謝マーカーの推移でも同様な結果を見出した。 前立腺癌の生検および,手術時の悪性度の指標となるGleason scoreの変動に関して,nomogramの有効性について検討し,external validationも合わせて施行した。また,生検でのこれらのnomogramの有効性についても検討した。 また同様に,前立腺癌診療ノモグラムに関して,J-CAPRA scoreの有効性を,重粒子線治療の施行された症例において検討した。また,重粒子線施行患者における,ホルモン療法抵抗性に関して臨床的考察を行い,公表した。 血中アンドロゲンおよびアンドロゲン受容体変異の関係について検討して,報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規バイオマーカー解析および,それに基づくノモグラム作成に関しては,順調に推移していると考える。一方,蛋白解析については,ターゲット蛋白の機能解析は無事すすんでいるものの,その測定アッセイ系の開発が困難であり,遅れをみている。
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今後の研究の推進方策 |
新規バイオマーカー解析および,それに基づくノモグラム作成に関しては,さらに展開して,有効なノモグラム作成に進む予定である。。 一方,蛋白解析については,ターゲット蛋白の機能解析は無事すすんでいるものの,その測定アッセイ系の開発が困難である。他研究機関との共同研究なども模索して,研究促進を図りたい。
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