研究課題/領域番号 |
22591764
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
杉村 芳樹 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90179151)
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研究分担者 |
長谷川 嘉弘 三重大学, 医学部付属病院, 助教 (10402687)
石井 健一朗 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90397513)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 前立腺 / 膀胱 / テネイシンC / GeneChip解析 / 遺伝子欠損マウス / 胎児泌尿生殖洞 / チモシンβ10 |
研究概要 |
本年度は、胎生16日目のTN-C KOマウスおよびWTマウス泌尿生殖洞からtotal RNAを抽出し、two-Cycle Target Labeling法によるcDNA合成、そして、Mouse Genome 430 2.0 Arrayへのハイブリダイゼーションと解析ソフトGeneSpring^[○!R]7.3.1による比較解析を行った。 WTマウスと比較してTN-C KOマウスで発現が減少もしくは消失している遺伝子は、chemotaxis, cell-matrix adhesion, response to wounding, collagen fibril organizationに属するものが多かった。さらに、TN-C KOマウスではthymosinβ10の発現がWTマウスの1/10以下に減少していることを見出した。 thymosinβ10は癌遺伝子Rasを阻害し、細胞分裂や細胞増殖,血管新生を抑制する。さらに、反接着作用を有し、細胞をアポトーシスへと誘導する働きが報告されている。これまでに我々が報告した、TN-C KOマウス前立腺上皮細胞に出現する二核細胞は、正常なサイトカイネーシス(細胞質分裂)が起こらないことに起因すると考えられる。つまり、TN-Cの遺伝子欠損により、反接着作用を有するthymosinβ10発現が減少し、正常なサイトカイネーシスが起こらないことで二核細胞の出現に至る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GeneChip解析により、TN-C KOマウス前立腺上皮細胞に出現する二核細胞には、反接着作用を有するthymosinβ10発現減少が関与している可能性を見出せた。しかし、マウス泌尿生殖洞におけるthymosinβ10の発現・局在を確認できておらず、今後の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
反接着作用を有するthymosinβ10がTN-Cと同様に、マウス前立腺上皮細胞のサイトカイネーシスを制御しているか否かは、thymsinβ10 KOマウスを導入して病理組織学的な解析を施行する必要がある。
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