研究課題/領域番号 |
22591770
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
魚住 二郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (30223514)
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研究分担者 |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
徳田 雄治 佐賀大学, 医学部, 講師 (90315200)
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キーワード | 前立腺癌 / 放射線被爆間質 / 癌間質相互作用 / 脂肪組織由来間質線維芽細胞(ATSC) |
研究概要 |
本年度は、前立腺癌や膀胱癌細胞の生存・増殖・浸潤における放射線被曝線維芽細胞の影響を検討するため、前立腺癌細胞株(LNCap,PC-3)、膀胱癌細胞株(RT4,EJ)をCollagen gel invasion assay systemを用いて、癌細胞株と脂肪組織由来間質線維芽細胞(ATSC)と混合培養した。線維芽細胞のコントロールとして線維芽細胞株(NIH3T3)を用いて癌細胞株との混合培養を行った。ATSC,3T3をゲル内に包埋し、ゲルごと照射を行い、その後ゲル上に癌細胞株を播種し、相互作用を検討した。HE染色・免疫染色にて比較検討を行った。前立腺癌細胞株では、線維芽細胞への放射線照射の有無では浸潤傾向の差は明らかでなかった。膀胱癌細胞株では、浸潤性膀胱癌細胞株(EJ)では放射線照射ATSCとの混合培養群で癌の増殖が促進され、Brd-Uの増殖能は、コントロール群、3T3群との混合培養群と比べて有意差が見られた。アポトーシスの指標であるssDM、cleaved-caspase3の免疫染色では、コントロール群、3T3群との混合培養群と比べて抑制された。一方、表在性膀胱癌細胞株(RT4)では、放射線照射ATSCとの混合培養群でBrd-Uの抑制、アポトーシス促進が見られた。また、浸潤性と表在性膀胱癌ともコントロール群と比ベ、放射線照射ATSCとの混合培養群では,MAP kinase pathwayの発現亢進がみられた。これより、放射線照射ATSCは、尿路上皮癌のMAP kinase pathwayの発現を促進するが、表在型、浸潤型尿路上皮癌により、MAP Pkinase pathwayの役割が異なることが示唆される。 また放射線照射ATSCでは、放射線照射3T3と比較し、αSMAの発現亢進がみられた。これは、放射線照射ATSCがmyofibroblastへ分化している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前立腺癌細胞株だけでなく、膀胱癌細胞株に対する被爆間質細胞の影響も検討している。
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今後の研究の推進方策 |
前立腺癌、膀胱癌-放射線照射ATSC相互作用解析モデルを用い、放射線照射脂肪組織間質細胞がそれぞれの癌細胞に及ぼす浸潤・増殖・アポトーシスシグナルや仲介因子を検討予定である。
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