研究概要 |
前立腺癌の診断で当科にて前立腺全摘除術を施行した249例のうち、局所浸潤傾向を有するPathological stage 3a以上の43例を抽出し、年齢や初診時PSA等の患者背景、臨床病期、病理診断(Gleason score, pT-stage,他)、術後生化学的および生物学的再発の有無等の臨床病理学的な項目をデータベース化した。このうち、浸潤傾向の強いinvasive frontと、非浸潤部の癌細胞を分けてLCMにて切り出し可能と判断した34例を解析対象とした。各症例において、厚さ10μmの連続切片を20枚作成し、各2枚をHE染色し1)浸潤の最先端部(invasive front)と2)非浸潤部分および3)正常腺組織を再度同定し、他の連続切片をトルイジンブルー染色し、1)-3)を別々にLCM(ライカ社)を用いて顕微鏡下に切り出した。RNA抽出キットmiRNeasy mini kit(Qiagen社)を用いて1)-3)のRNAを抽出した。miRNA labeling and hybridization kit(Agilent社)を用いてCy3にてラベルし、ハイブリダイズした。アレイは534のmature miRNAsに対するプローブG4470A Human MiRNS Microarray(Agilent社)を用い、wash後confocalスキャナ(G2565BA, Agilent社)で螢光シグナルを検出しFeature extraction software(Agilent社)を用いてその強度を測定した。現在、マイクロアレイのデータをGeneSpring GX software(Agilent社)を用いて、クラスター解析を行っており、miRNA発現パターンによるinvasive front、非浸潤部分、および正常腺組織の分類が可能か検討しており、さらに、前立腺癌の浸潤に関与するmiRNAの同定を試みている。
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