研究概要 |
前立腺癌の診断で当科にて前立腺全摘除術を施行した249例うち、局所浸潤傾向を有するPathological stage 3a 以上の43例を抽出、年齢や初診時PSA等の患者背景、臨床病期、病理診断 (Gleason score, pT-stage, 他)、術後生化学的および生物学的再発の有無等の臨床病理学的な項目をデータベース化した。癌細胞がLCMにて切り出し可能と判断した32例について1) 浸潤の最先端部(invasive front) と2) 非浸潤部分、3) PINおよび4) 正常腺組織を分けて顕微鏡下に切り出し、RNAを抽出し、microRNA (miRNA)マイクロアレイを行った。miRNA発現パターンの解析により浸潤に関与するmiRNAの同定を試みたが、個体間および同一患者の組織間に発現パターンの差が大きく、invasive frontと非浸潤部分において有意に発現が異なるmiRNAは同定できなかった。本研究の問題点として、サンプル数が限定的である点と、サンプル間のmiRNA発現のばらつきが比較的大きいことが挙げられ、その原因の1つにはパラフィン包埋でのmiRNAの保存状態、あるいは抽出効率にばらつきが生じていると推察された。
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