研究概要 |
平成23年度は、我々がアンドロゲン除去の血清下で樹立した新規ホルモン不応性前立腺細胞株(C4-2AT6:Kosaka T,Miyajima A,et al Prostate 2010,Kosaka T,Miyajima A,et al J Urol 2011)を対象として去勢抵抗性に関与する微小環境の調節因子の発現、ならびに、関連するシグナル伝達機構と抗がん治療抵抗性との関連について解析を進めた。 C4-2AT6におけるマイクロRNAの発現解析において、昨年度までに同定された定量的に有意に低下するマイクロRNAの発現解析にて、miRNA200のクラスターの発現制御異常が認められており、強制発現系の実験系を構築し、miRNA200を導入した際の血管新生関連因子の発現を解析した。 C4-2AT6においては、miR200の導入にて、VEGFの発現が有意に抑制される知見を得た。 我々の今までの検討において、血管新生においては、C4-2AT6においては、VEGFの発現が有意に亢進し、HIF-1αなどの血管新生発現調節因子の上昇をすでに報告しているが、今回新たに、微小環境や血管新生に関して、マクロファージ関連サイトカインである、MCP-1の発現もCRPC症例やC4-2ATにおいて有意に亢進している知見を得た。 シグナル伝達機構の解析においては、PI3K/Aktシグナル経路の中で、Aktのセリン473のリン酸化が更に亢進しており、この亢進したリン酸化Aktの発現上昇がMCP-1の発現に関与する知見を得た。今度、更にこれらのシグナル系統の相互依存性も含めて、血管新生発現調節因子の発現調節機構の観点から解析を進めていく。また、miRNAとこれらの液性因子とシグナル伝達機構、CRPC進展機構の解析を、蛋白レベルでの発現調節発現調節機構との関連を含めて、引き続き解析を進めていく予定である。
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