研究概要 |
申請者らは、前立腺癌細胞株(LNCaP, C4-2)を用いて、miRNA array解析を施行し、3倍以上の発現差を認めた20種類のmiRNAについて、miRbase Sequence databaseをもとに、そのmiRNAが標的とする塩基配列を有する遺伝子を予測した。実際ヒト前立腺癌で悪性度や進展に関与する因子や申請者が報告してきた因子に着目した。有意に発現が低下していることを確認できたmiRNAのうち、miR-200、miR-206を現在まで候補に挙げこれらのmiRNAはqPCRでの発現解析においてもLNCaPに比較して、C4-2で有意に低下していた。申請者はCRPCの臨床検体で蛋白レベルのVEGF発現が上昇していることを報告してきたが、VEGFはmiR-200c、miR-206の標的遺伝子の一つである。実際にC4-2にmiR-200c、miR- 206の前駆体(precursor miRNA: pre—miR)を導入し、強制発現実験を施行し、VEGFの蛋白レベルでの発現が有意に低下することを確認した。さらに平成24年度は、微小環境、特に、血管新生、腫瘍浸潤マクロファージ(TAM)の挙動(MCP-1:CCL2, MIP-1)に影響を与える因子について検討を行ってきた。CRPCの性質を持つ細胞株C4-2 AT6は血管新生を抑制するangiotensin 受容体阻害剤の投与により有意にMCP-1が抑制され血管新生を抑制される性質を明らかにしえた。さらにはCRPCになる可能性を持った悪性度の高い癌ほどdihydrotestosteroneが低下した状態をむしろ好むことを証明した。
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