研究概要 |
前立腺癌はホルモン治療に良好に反応するが、臨床的にはホルモン治療に抵抗性を獲得した前立腺癌の治療には難渋する。In vitroの実験系おいて、新規に開発したNFkappaB阻害剤であるdihydroxymethylepoxyquinomicin(DHMEQ)は2.5,5,10,20,40μg/ml濃度範囲でホルモン非依存性前立腺癌細胞株であるPC-3細胞に対して殺細胞効果を示した。DHMEQのcell cycleに及ぼす作用を調べるために細胞をBrdUにてラベルし、flow cytometric analysisを行った。PC-3細胞においてコントロールにおけるG2/M arrestが32%であったのに対して、2.5μg/mlのDHMEQを作用させたときには、G2/M arrestが39%にみられ、DHMEQがcell cycleに影響を及ぼす可能性が示唆された。ついで我々は新たに合成した薬剤について、殺細胞効果の有無を検討し、その結果によりNFkappaBの阻害実験の必要性を検討した。まず、in vitroの実験系のおいて殺細胞効果を検討した。5x10(3)個のPC-3細胞を96 well microplateに播種し、24時間のpreincubationの後5,10,20,40microM濃度の新規薬剤を作用さ、spectrophotometric assayにて殺細胞効果を検討した。24時間後の殺細胞効果は12%,1%,25%,20%であり、48時間後では8%,4%,20%,25%,72時間後の殺細胞効果はコントロールに比べて9%,0%,26%,30%であった。ついでJCA-1細胞た対する新規NFkappaB阻害剤について同様に殺細胞効果を測定した。5,10,20,40microM濃度の薬剤を作用させたときの24時間後の殺細胞効果は-20%,-10%,10%,28%であり、48時間後では11%,1%,21%,25%,72時間後の殺細胞効果はコントロールに比べて13%,-9%,28%,28%であった。今後は更に強力な薬剤を開発し、その殺細胞効果やNFkappaB活性への影響を含めた作用機序の解明などが必要と考えられた。
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