研究課題
樹状細胞(dendritic cells:DC)上の抗原提示分子群としては、癌蛋白質やウイルス蛋白質の様に細胞内で産生された抗原分子由来のペプチド断片を提示するクラスIMHC分子と外部より取り込んだ抗原分子のペプチド断片を提示するクラスII MHC分子、そして抗原分子由来の(糖)脂質分子を提示するCD1分子群とが存在する。DCにBCG関連分子を作用させ、これらの抗原提示分子群の発現の変動を追跡したところ、生菌BCGに感染したDCと加熱処理による死菌BCGで処理したDCでは、未処理DCと比べクラスI MHC分子の発現は全く変化しなかったが、クラスII MHC分子(HLA-DR)の発現が著明に増強しており、その傾向は死菌BCG処理群と比較し、生菌BCG処理群の方が有意であった。またCD1分子群に関しては、NKT細胞活性化に関わるCD1d分子、またγδ型T細胞の活性化に関与するCD1c分子の発現が、生菌BCGの添加により増強することを見いだした。またこの際、抗原提示を補佐しT細胞活性化の鍵を握るB7-1(CD80)及びB7-2(CD86)の発現も生菌BCG処理群のみならず死菌BCG処理群において増強していた。ただし、抗体産生促進機能を有するCD40の発現は影響を受けなかった。また、生菌BCGで処理した樹状細胞は、細胞性免疫の活性化に関わるIL-12、TNF-αを産生・放出した。さらに、生菌BCGによりDCは、癌免疫に必須の抗原提示細胞であることが判明してきたDEC-205陽性DCに分化する可能性を見いだした。今後は、この現象をさらに追跡・確認するとともに、誘導されたDEC-205陽性DCが外部より捕捉した癌抗原をクラスI MHC分子を介して提示する可能性を追跡する予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)
Biomed.Res.
巻: 32 ページ: 159-166
Vaccine
巻: 28 ページ: B3-B7
Biomedical Res.
巻: 31 ページ: 53-61
J.Gen Virol.
巻: 91 ページ: 773-781
Immunology
巻: 130 ページ: 597-607
Cancer Immunol Immunother.
巻: 59 ページ: 1083-1195
Blood
巻: 116 ページ: 1124-1131